赤ちゃんを授かりたい、と思い「妊活」をされているご夫婦はたくさんいますよね。唐突ですが、「不妊=女性の問題」というのは正しい考え方ではなく、夫婦それぞれの問題であるケースもあり、中には男性にだけ不妊の原因があるケースもあります。
そもそも妊娠は夫婦の共同作業によるものですから、女性だけでなく男性にも問題があってもおかしくありません。つまり、妊活では男性も積極的に行動をして、赤ちゃんを授かるという結果を引き寄せる必要があるのです。
ここでは、妊活において男性がやるべきこと(できること)について解説します。これから妊活をスタートしようと考えているご夫婦にもぜひ読んでいただきたいです。
目次
そもそも「妊活」とは?
「妊活」とは、赤ちゃんを授かるために行う、妊娠に向けたさまざまな活動のことをいいます。
よく「妊活=不妊治療」というイメージをお持ちの方もいますが、具体的には不妊治療は妊活の一部でしかありません。妊活とは、妊娠に向けて行うさまざまな活動を総称してそう呼んでいます。
- ・不妊治療
- ・夫婦、パートナーでの話し合い
- ・妊娠に関する情報収集
- ・医療機関での治療など
もし「妊活=女性の治療」という考えをお持ちであるのであれば、その考え方は一度見直していただきたい、私はそう思います。妊活は夫婦どちらかの責任ではなく、一緒に努力する役目があるのです。
もちろん、場合によっては女性だけに問題があるというケースもないことはありません。しかし、男性も然り。現実には不妊の原因は男女半々、つまり男性が不妊の原因である可能性が半分ほど存在しているということなんです。
なので、赤ちゃんができないと「私のせい・・」と女性の方は思わないでくださいね。一緒に、パートナーと協力していくことが大切ですよ。
妊活をスタートする男性がやるべきこと(できること)
妊活をスタートしようと考えている男性ができることは、次のようなものがあります。
精液検査
精液検査とは、男性の精巣で作られる精液の中に、元気な精子がどれくらい存在するかを調べる検査です。具体的には、この検査では精液量や精子の数、精子の運動率などを調べます。
なぜ妊活で精液検査が必要かというと、妊娠成立に向けて夫婦で正しく動き出すため。検査の数値によっては、自然妊娠が望めるのか、人工授精や体外受精に切り替えた方が良いのか、適切な選択が可能になります。
つまり、精液検査をすることで最適な妊娠の形を求めることができるようになり、妊活の効率を高めることになるのです。
男性の精子に問題があることを知らない状態で妊活を進めると、本来かける必要のなかったお金や時間を大量に使ってしまうでしょう。妊活の最初の段階で精液の状態を調べることで、早い段階で適切な対応ができ、何が妊娠成立に繋がりやすいかがわかるのです。
風疹の抗体検査
「風疹(ふうしん)」とは、強い感染力を持った風疹ウイルスに感染することで発症する病気です。妊活を始める男性にとって、妊娠とは無関係そうに思えるこの風疹抗体検査は、極めて重要なもの。
最大の問題点は「風疹は感染力が強いウイルスである」ということです。感染力が強いということは、一緒に生活しているパートナーである奥さんに対して感染させてしまう恐れがあるということなんです。
妊娠初期の女性がもし風疹になってしまった場合、お腹の中の赤ちゃんが「先天性風疹症候群」になってしまう可能性があります。赤ちゃんがこの病気になってしまうと、赤ちゃんの身体や臓器、精神の発達に悪い影響が出てしまうおそれがあるんです。
前述のとおり風疹ウイルスは強い感染力を持ったウイルスではありますが、現在は予防接種を受けることでかなり高い確率での予防が可能になっています。旦那さんは、ご自身の母子手帳などを確認したり、ご家族に聞くなどして、2回の風疹予防接種の履歴があることを確認してくださいね。
もし、予防接種の履歴が確認できなかった場合、大人でも風疹の予防接種は可能なので受けておきましょう。また、子どもの頃に接種した風疹予防接種の効果は年月の経過とともに抗体が低下している可能性があるので、検査結果で抗体が低下していた場合はあらためて予防接種を受けておくと安心です。
夫婦でしっかりと話し合う
妊活を始める前の段階で、夫婦でしっかりと妊活や妊娠についての考え方を共有しておくことをおすすめします。とてもデリケートな問題ではありますが、妊活についての方向性の話し合いはとても大切なのです。
その際、パートナーの意志をきちんと確かめながら、どちらか一方的な話にならないように注意する必要があります。妊活の方向性を夫婦でしっかりと固めるためにも、妊活を始める前に必ず夫婦間できちんと話し合っておきたいですね。子どもが欲しいか、費用について、またお互いの気持ちを尊重したいところです。
(その際、できればノートなどに、話し合った内容を残しておくのもおすすめ。後々、見返したり細かな部分も把握しておくと、お互いにわかりやすいですよね。)
妊活で重要な「精子」のはなし
男性の妊活で重要な要因となるのが「精子」です。受精のためには男性の精子の「質」も問題になってくることがあります。そのために精液検査を受けるわけですが、生活の仕方によって男性の精子の質は大きく変動するといわれています。(精子に質があるの?と思いますよね、詳しく見ていきましょう。)
妊娠が成立しやすい「質の良い精子」
妊娠を成立させやすくするためには「質の良い精子」であることが必要なのです。質の良い精子とは、以下のような特徴のことを言います。
- ・数が多い
- ・活発である
- ・損傷がない
これらは最初の方で書いた、「精液検査」で確かめることができます。精子の質が良ければ良いほど、妊娠が成立しやすくなるんです。この精子の質は、男性の日常的なの行動で高めることができます。
少し意識でも変わってきますので、妊活を考えている男性はぜひ試していただきたいと思います。
質の良い精子にするための方法
質の良い精子を作るためには「健康な生活習慣」が欠かせません。
まずは「日常的に運動する習慣を身に着ける」こと。男性の運動不足によって精子の数が減ってしまうことは、さまざまな研究ですでに判明しています。もし座りっぱなしの生活をしている男性は、筋トレや軽いウォーキングなどで日ごろから身体を動かすことを意識するだけでも有効です。
次に「定期的に射精する」ことも重要です。精子は、平均すると70日以上の長い時間をかけて作られますが、射精されずに溜まった精子は徐々に質が低下してしまいます。新しい精子の方が比較的妊娠が成立しやすいため、定期的に射精して精子を入れ替えることが重要なんです。
あとは「栄養バランスのとれた食事をとる」ことも重要な要素。食事による栄養が偏っていると、精子の数や質に悪影響を及ぼす可能性があるんです。1つの成分だけを集中して摂取するのではなく、バランスを意識してみてください。
バランスの良い食事は奥さんにとっても重要なことになりますので、日ごろの食事でしっかりとバランスよく栄養を摂取できるようにメニューを考えてみましょう。
精子の質が下がってしまう妊活の天敵となる行為
男性の生活習慣によっては「妊活の天敵」ともいえるような「精子の質を下げる行為」が隠れている可能性があるので、注意が必要です。完全にやめられない場合は、頻度を減らすなど少し意識してみることをおすすめします。
そして、妊活のためだけでなく、健康のためにもいい影響が出ますよ。
喫煙
たばこを吸うことによって精子の数が減ったり、精子が傷ついてしまったりすることがあります。妊活期間中は、できるだけ禁煙するのが良いでしょう。(難しい場合は吸う頻度だけでも減らして!)
コーヒー
「コーヒーを過剰に飲むと妊娠する確率が下がる」という研究結果があります。そこまで気にする必要はありませんが、もし「毎日3杯以上飲む」という方はコーヒーを飲む量を減らすのが妊活にとっては安全なこと。
ただし、何事もやりすぎるとストレスになりますので、1回の量を減らしてみるなど少しずつ無理のないように工夫してみて。
飲酒
過剰な飲酒は、精子の数や形に悪影響を及ぼす可能性があります。適度に飲酒する程度であれば問題ないケースが多いのですが、日ごろから「飲み過ぎだ」と注意されているような方は注意してください。(健康にとってもいい!奥さんにとっても嬉しい!笑)
睾丸を温める
これは知らない人も多いかも?「睾丸を温める」のは、熱に弱い精子にとってはデメリット。
長風呂や熱めのお風呂、長時間のサウナなど熱を帯びる行為は妊活中は避けるようにすることをおすすめします。また、膝上でノートパソコンを起動するような行為もあまりよくないといわれています。
肥満状態
肥満状態にあると、精子の形や運動性に悪影響を及ぼす可能性があります。また、肥満は生活習慣病やEDにも繋がるため、体重が気になる男性はダイエットなど生活習慣の改善が必要です。適度な運動と健康的な食事がおすすめ!
生活習慣の乱れ
睡眠不足や偏った食生活は、精子の質を低下させる可能性が高いんです。生活が整うと気分も明るくなるケースが多いので、生活習慣の悪さが気になる方は妊活の機会にぜひ見直してみましょう。子育てする段階でも役立つことが多いので、おすすめですよ。
過剰なストレス
ストレスを溜めこんでいる男性は、精巣に悪影響を及ぼしている可能性があります。仕事が毎日忙しい、そんな方に多いので少し心配ですね。
ストレスが溜まらないよう、仕事の調節をしたり、趣味、運動などを心がけてストレスとうまく付き合いたいものです。
男性の妊活に効果的な栄養
先ほどの「バランスの良い食生活」に加えて、「妊活に役立つ栄養素」についてお話しします。
葉酸
「葉酸」は、精子内部にあるDNAが傷つくのを防ぎます。妊活には必須と言える栄養素であり、妊娠中の女性にとっても重要な栄養素でもあるんです。ほうれん草などに多く含まれていますので、積極的に食生活に取り入れましょう。
亜鉛
「亜鉛」は精子の量を増やす作用があり、また精子の運動率を高めるという作用があることもわかっています。牡蠣や納豆などに多く含まれていますので、苦手ではない方は積極的に食生活に取り入れたいところです。
たんぱく質
人体の基礎的な栄養である「たんぱく質」は、妊活においても重要な栄養です。肉類や魚類を中心に、効果的にたんぱく質を摂取できる食生活を送りましょう。
ビタミン類
「ビタミンC」「ビタミンE」「ビタミンB12」は、男性の精子にも重要な意味を持つ栄養です。ビタミンCは果物、ビタミンEはナッツ類、ビタミンB12はしじみやさんまなどから効果的に摂取しましょう。
オメガ3脂肪酸
「オメガ3脂肪酸」は良質な脂であり、精子の形成にも関わっています。くるみやサバ、いわしなどに多く含まれています。
難しい栄養はサプリメントも視野に入れる
ここまで、さまざまな栄養を紹介しましたが、たとえば亜鉛のように苦手としている食べ物に多く含まれている栄養だと、日常的に摂取することが難しいこともあるでしょう。その場合は「サプリメント」を利用することで、効率よく栄養を摂取することも視野に入れることをおすすめします。
ただ、サプリメントは過剰摂取してしまうこともあるので、注意が必要です。
摂取量、成分には気をつけてご使用してくださいね。
妊活中の男性が抱えやすい問題
妊活中の男性が抱えやすい問題としては「妻だけED(勃起不全)」という問題もあります。(こんな言葉があるんですね・・)
「妊娠を成功させなくては」というプレッシャーから、パートナーである奥さんとの性行為のときだけEDになってしまう旦那さんも、意外と少なくありません。もちろん、EDの状態では性行為はできませんので、妊活を妨げる要因の一つにもなってしまいます。
妻だけEDは、心の問題である可能性が高いです。ただ、奥さんもプレッシャーを与えたいつもりではありませんので、お互いにそれを理解した上で話し合いが大切です。性行為だけでなく、普段からのコミュニケーション、スキンシップもとても大切にしたいですね。
それでも解消できない場合は、ED治療薬を医師から処方してもらうことをおすすめします。
まとめ
妊活は夫婦の協力が必要です。実際を紐解いてみると、妊活は女性だけではなく、男性もやるべきこと(できること)が多いことがわかりますね。
妊娠とは簡単なことではないことは誰もがわかっていますが、それでも子どもを授かりたいというご夫婦の強い気持ちが妊活の行動力になります。上手くいかない時期もあるかもしれませんが、常にパートナーと話し合い、できることは可能な限り1つ1つ実践してけることが、第一歩となるのかもしれませんね。