赤ちゃんが6ヶ月ごろになると、離乳食が始まります。ママさんは離乳食を始めるにあたって、『子どもがアレルギーをもっていないかな?』と心配になりますよね。離乳食をすすめる前にアレルギーについて正しい知識を身につけて、赤ちゃんが安全に離乳食を進めていけるようにしましょう。
目次
食物アレルギーとは
食物アレルギーとは何らかの原因となる食べ物を食べて、皮膚や粘膜、消化器、呼吸器などにアレルギー症状が出ることをいいます。
食物アレルギーは、赤ちゃんだけでなく、大人や高齢者にもみられることがありますが、0~1歳の赤ちゃんに見られることが多いといわれています。赤ちゃんはまだ免疫力がないことや、消化器官が発達していないために、アレルギーを起こしやすくなっています。アレルギーは成長するにつれてなくなることもあります。食物アレルギーの種類は次の二つです。
即時型反応
食事後、2時間以内にアレルギー反応が見られるものをいいます。
アナフィラキシーも即時型反応のひとつといえます。
即時型アレルギーの症状例
じんましんや紅斑(皮膚が赤くなること)、浮腫(むくみ)が一番多い症状です。
その中でも、血圧が下がって意識が遠のいてしまうアナフィラキシーショックが、一番重い症状です。
アナフィラキシーとは
アレルギー反応の中でも、とても深刻な命にも関わるアレルギー反応のことをいいます。皮膚や粘膜、消化器、呼吸器などの一部にアレルギーが見られるだけでなく、複数、または全身にアレルギー反応が出て、血圧の低下や意識障害におかされることがあり、生命に関わる危険性があるので、一刻も早く医療機関で治療する必要があります。
非即時型反応
遅発型反応:食後6~8時間後にアレルギー反応がみられる。
遅延型反応:食後1~2日後にアレルギー反応がみられる。
非即時型アレルギーの症状例
消化器症状(下痢、血便、便秘、など)や、皮膚症状(アトピー性皮膚炎の悪化、むくみを伴う湿疹、など)が多く見られます。食後時間がたってから症状が発現しますので、食物との関連性を証明することが難しいこともあります。
即時型反応よりも遅く、食事した日は何ともなくとも、半日後や翌日アレルギー反応がでることがあるので気をつけてください。ママの自己判断で治療せず、医師の診断を受けましょう。
アレルゲンとなる食べ物
私たちに不快な症状を引き起こす食物アレルギーですが、その原因となるアレルゲン(食物アレルギー症状を引き起こすこと可能性のある食物)の中で、とくに発症者数や症状の重症度が高く、表示する必要性の高い食品7品目を「特定原材料」として定められ、容器包装された加工食品等に特定の原材料を使用した旨の表示を義務づけられている食物群と、また、20品目を「特定原材料に準ずるもの」として、可能な限り表示するよう推奨されている食物群があります。
こういった食物アレルギーの原因となる食べ物(アレルゲン)はぜひ知っておきましょう。アレルギー表記が義務づけられている代表的なものから、表記が推奨されているあまり知られていないものもあるので、初めて食べるときには要チェックです。
アレルギー7品目
卵、乳および乳製品、小麦、えび、かに、落花生、そばはアレルギー表記が義務づけられている代表的な物です。
えび | くるまえび類、しばえび類、さくらえび類、てながえび類、小えび類、その他のえび類、いせえび類、うちわえび類、ざりがに類(ロブスター等) 【対象外】しゃこ類、あみ類、おきあみ類 |
かに | いばらがに類、くもがに類、わたりがに類、くりがに類、その他のかに類 |
小麦 | 小麦(グルテン含有量によらない) 【対象外】大麦、ライ麦 |
そば | そば 麺だけでなく、そばボーロ等のそば粉を使用した食品全てが対象。 |
卵 | 一般的に食用に使用される鳥卵(鶏、あひる、うずら等) 卵黄と卵白が分離しているもの、液卵、粉末卵、凍結卵も対象。 【対象外】魚、は虫類、昆虫等、その他の生き物の卵 |
乳 | 牛の乳 【対象外】牛以外の乳(水牛、山羊、めん羊等) |
落花生 | 落花生(ピーナッツ、なんきんまめとも呼ばれる)、ピーナッツオイル、ピーナッツバター 採油用の小粒種(脂肪が多い)、食用の大粒種(たんぱく質)ともに対象。 |
*特に、卵、乳(乳製品)、小麦は他に比べても、アレルギーになる確率が高いので注意が必要です。
アレルギー21品目
ほかにもアーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン。
こちらの21品目もアレルギーの原因となることがあります。このアレルギー食材を知っておくことで、アレルギー反応が出たときに原因を調べやすくなりますね。
アーモンド | アーモンド、アーモンドオイル、アーモンドミルク等 主に食用にされるスイート種でなく、ビター種も対象。 |
あわび | あわび 【対象外】とこぶし |
いか | ほたるいか類、するめいか類、やりいか類、こういか類、その他のいか類 |
いくら | さけ、ます類の卵巣を塩蔵したもの すじこも対象。 |
オレンジ | ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ等 【対象外】うんしゅうみかん、夏みかん、はっさく、グレープフルーツ、レモン |
カシューナッツ | カシューナッツ |
キウイフルーツ | キウイフルーツ |
牛肉、豚肉、鶏肉 | 肉、内臓(真皮層を含むもの(耳、鼻、皮等))、動物脂(ラード、ヘッド) 【対象外】上記以外の内臓(ケーシング材を含む)、皮(真皮を含まないもの)、骨(肉がついていないもの) |
くるみ | くるみ |
ごま | ごま(種皮の色の違いによらない) 【ごま油、練りごま、すりごま、ごまペースト等の加工品も対象。 【対象外】トウゴマ、エゴマ |
さけ | さく河性のさけ・ます類(しろざけ、べにざけ、ぎんざけ、ますのすけ、さくらます、からふとます等) 【対象外】陸封性のさけ・ます類(にじます、いわな、やまめ等)※海で養殖されたものは、表示対象。 |
さば | まさば、ごまさば |
大豆 | 大豆 えだまめや大豆もやし等の未成熟のもの、発芽しているものも対象。 【対象外】緑豆、小豆 |
バナナ | バナナ |
まつたけ | まつたけ |
もも | もも |
やまいも | 自然薯、ながいも、つくねいも、いちょういも、やまといも等 |
りんご | りんご |
ゼラチン | 主に牛、豚を主原料として製造され、「ゼラチン」の名称で流通している製品 ※「牛肉」や「豚肉」を原材料として抽出される場合は、「牛肉を含む」や「豚肉を含む」等と表示される。 |
アレルギー食品を食べる前に
では、離乳食をすすめるにあたって、アレルギー食材を食べる前に注意しておきたい点について紹介していきます。
調理方法を確認する
離乳食を食べる前に、そのまま生であげてもいいもの、加熱したほうがいいものの確認をしておきましょう。加熱しなかったことで、アレルギー反応を起こしやすくするものもありますので、それぞれの調理方法を確認しておきましょう。
アレルギー食材は1種類ずつ試す
アレルギー食材は1種類ずつ試すようにしましょう。というのも、もしもアレルギー食材を2種類食べて、アレルギー反応が出た場合、アレルギーの原因が分かるのに時間がかかってしまいます。また、複数のアレルギー反応を防ぐためにも、1種類ずつ食べましょう。
病院のいける時間帯に試す
万が一、アレルギー反応が出たとき病院へすぐいけるような時間帯に食事をするのがいいでしょう。非即時型反応のように、後から反応が出てしまうこともあるのですが、アレルギー反応が出たときにすぐ病院に行けると安心ですよね。病院のいける時間帯、送迎してくれる人がいるか等も確認しておけば、なお安心です!
少量ずつ試す
食物アレルギーである場合、触っただけでもアレルギー反応が出ることがあるほど、赤ちゃんはとても敏感です。アレルギー反応がなければ良いのですが、アレルギー反応が出る可能性も考えて、初めてのものは少量ずつ食べるようにしましょう。
体調の良いときに試す
食物アレルギーは体調が悪いときに食べると、免疫力が落ちているために、アレルギー反応が出やすくなります。
風邪をひいている、ぐずっている、病み上がり、寝不足などのときは避け、体調の良いときに試すことをおすすめします。
アレルギー反応が出たときは
気をつけていても、赤ちゃんのアレルギー反応が出ることは、避けられません。
もしもアレルギー反応が出たときの対処法を知っておくことで、すぐに対応できるのでぜひこの機会に覚えておいてくださいね。
子どもの様子を観察
アレルギー反応が出ると、ママさんも慌ててしまいがちですが、落ち着いて子どもの様子を観察しましょう。皮膚に少しの発疹など軽度の場合は、様子を見て落ち着いたら病院に連れて行きましょう。
しかし、呼吸がおかしい、下痢、嘔吐、発熱、顔が真っ赤になるなどの異常が見られた場合はすぐに病院に連れて行く必要があります。場合によっては、救急車を呼んだり、時間外でも受診する必要があります。
状況を把握する
病院で受診する際に、次の情報が必ず必要となります。
・食べたもの
・食べた時間
・症状が表われた時間
・症状の様子
余裕があればメモしたり、発疹などの様子を写真に撮っておくことをおすすめします。
手や口の周りを洗う
アレルギー反応が出た場合は、すぐに口、口の周り、手、顔などをよく洗いましょう。アレルギーのある食材が手についた状態で顔や体を触ると、どんどん広がっていくことがあります。よく洗うか、洗うのが難しい場合はは、濡らしたタオルで優しく綺麗に拭き取ってあげましょう。服についている場合は、お着替えもしてあげてくださいね。
しばらくは様子を見る
アレルギー反応がほとんど見られなかった場合でも、非即時型反応のように、半日後、翌日に反応が出ることもあります。食後2時間ほど出なかったからといって、安心はできません。その後も、赤ちゃんの様子を観察するようにしましょう。
さいごに
離乳食のなかでおこるアレルギーのお話いかがでしたか?最初はママさんも緊張したり、不安なこともあるかもしれませんが、そんなときはかかりつけ医の先生に相談しながら、無理のないペースで進めていってくださいね。また、成長するにつれて免疫力も高くなり、アレルギーがなくなることもあります。今回お話しした注意点、対処などが参考になると嬉しいです♪
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