出産について 産後のママの悩み

【産婦人科医監修】カンガルーケアとは?メリット効果や方法を徹底解説

2020年12月15日

  • 記事の監修者

丸尾 伸之 先生

レディーバードクリニック 院長、淀川キリスト教病院 産婦人科 顧問

平成13年 大分医科大学卒業、神戸大学医学部附属病院で産婦人科勤務
平成20年 神戸大学大学院で医学博士取得、神戸赤十字病院で勤務
平成27年 淀川キリスト教病院 産婦人科部長
令和4年 大阪西天満でレディーバードクリニックを開業、淀川キリスト教病院 産婦人科顧問を兼任
監修者情報

カンガルーケア

カンガルーケアとは、出産直後に新生児を母親の裸の胸に抱いて密着させることで、母子の結びつきを深める行為です。

この方法は赤ちゃんと母親の絆を強化し、安心感を提供するために行われますが、カンガルーケアにはメリットだけでなく、リスクも存在します。

本記事では、カンガルーケアの具体的な目的や効果、さらに注意すべきリスクについて詳しく解説します。

母子の健康と幸福を最優先に考え、安全にカンガルーケアを行うためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

カンガルーケアとはなんですか?

カンガルーケアとは、出産後すぐに新生児を母親の裸の胸に抱いて密着させることで母子の結びつきを深める行為です。出産後に分娩室で母親の肌を密着させて授乳することで、赤ちゃんも母親との絆を感じると言われています。
赤ちゃんを母親が肌を密着させて包みこむように抱く様子が、カンガルーの親子に似ていることから名付けられました。

カンガルーケアの目的・効果

ずっとお腹にいた赤ちゃんが産まれたとき、出産後の安心感と、言葉に表せないほどの幸福感を味わうことでしょう。そして産まれてきた赤ちゃんを抱きしめたい気持ちがおかあさんに芽生えることと思います。
カンガルーケアの目的は赤ちゃんが産まれたことを肌で実感できるひとつの方法です。

母子ともに安心を感じる

カンガルーケアではおかあさんと赤ちゃんが肌と肌を合わせる、体温を感じることでお互いに安心するといわれています。おかあさんは出産の喜びを感じることでしょう。赤ちゃんはお腹にいた10ヶ月とは全く別の環境になりますが、おかあさんのぬくもりを感じることで安心できます。目を合わせたり、優しく話しかけたり、身体にそっと触れたりしながら初めてのスキンシップをしてみましょう。とても幸せな時間ですね。

母性ホルモンの分泌促進

カンガルーケアをすることでおかあさんのオキシトシン(母性ホルモン)が分泌されます。

オキシトシンを分泌することによって、母乳が出やすくなり、母乳育児の第一歩になることでしょう。

またそれだけでなく、ホルモンの分泌によっておかあさんの精神面を安定させる良い影響もあります。赤ちゃんと触れあうことで、自然と母になる実感もすることでしょう。

カンガルーケアのやり方(いつ・どこで・誰と・どれくらいの時間?)

カンガルーケアは出産後、だいたい30分以内に赤ちゃんをおかあさんの胸の上にうつ伏せで寝かせます。
カンガルーケアは出産後、一通りのケアを終え、健康であることを確認できたときに行われます。

カンガルーケアを行える時間においては、産院や母子の体調、様子によって変わってくるので医師にお話を聞いてくださいね。
そのときに初めての授乳をすることもあります。

いつ出産直後(赤ちゃんを検査したあとに看護師さんが赤ちゃんを胸のところまで持ってきてくれることが多いようですよ。)
誰とお母さんと赤ちゃんとで行います。
どこで分娩台の上(分娩室)で/出産場所で
どれくらいお母さんや赤ちゃんの状態に応じて、数分~数時間などさまざまです。産婦人科医や看護師さんの指示に従ってくださいね。

 

カンガルーケアのリスクは?

このようにカンガルーケアは多くの産院が実施しており、母子の絆を深める一方でリスクになることもあるため十分に注意が必要です。
生まれたての赤ちゃんはかなりデリケートな状態です。
医師や助産師さんなどが見守るなかで何かあったときのためにすぐ対応できる環境が大切です。

落下・窒息に注意

産後すぐの赤ちゃんのバランスはもちろん不安定です。初めは誰かに支えてもらいながら、確実に赤ちゃんがおかあさんの身体のうえで安定できるように気をつけましょう。そして、呼吸がしっかりとできるように鼻・口を覆わないように注意してください。

低体温症に注意

お腹のなかと私たちが過ごしている環境では約10度の温度差があります。
赤ちゃんは10ヶ月お腹にいたのですから、急な環境の変化によって低体温症に陥ってしまうことがあります。低体温症は命の危険にも関わってくるため十分に注意が必要です。赤ちゃんの肌の色や様子にすぐに気づけるような環境を整えておくことが大切です。少しでも異変を感じたときには医師にすぐ伝えるようにしましょう。

おかあさんのストレスになることも

出産後はおかあさんの身体も非常に疲れていることがあります。
無理に抱っこしてかえってストレスになってしまっては精神的にも良い影響を与えません。疲れたな・・・と感じたときには希望しないことも選択肢のひとつですよ。またすぐ後にもゆっくりと関われる時間がありますので安心してくださいね。

さいごに

カンガルーケアは出産の喜びや赤ちゃんとの絆を感じることのできる、幸せな時間ですね。
希望する、しないはおかあさんが自由に選択できます。もし希望する場合は、安心・安全な環境を整えるためにも産院で医師にあらかじめ相談しておくのもいいでしょう。
どんなときでもおかあさん、赤ちゃんの健康を一番に考えて進めることが大切ですよ。赤ちゃんと初めて会う貴重な時間を幸せな気持ちで迎えられますように。

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  • この記事を書いた人

助産師ゆき

看護師免許
助産師免許
保健師免許

8年間助産師として勤務し、様々な妊産褥婦さんと関わり勉強させていただきました。
その後2020年に第1子を出産し、今までの経験を総動員して育児をしてみたものの上手くいかないことが多々あり、育児の難しさを身に染みて感じました。でもそれ以上に子供は可愛く大変さも吹き飛ぶ日々。現在は育休から復職し、育児の経験を踏まえ、専門的な知識だけではなく、生活で役に立つ情報を伝えられたらいいなと思います。どうぞよろしくお願いします!
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