子供を車に乗せる時に使う「チャイルドシート」ですが、「ベビーシート」とはどこが違うのでしょうか。
赤ちゃんと一緒に車で移動するときに必ず必要となるのが、「ベビーシート」です。ただ、ベビーシートと同じようなものに「チャイルドシート」や「ジュニアシート」もあり、その違いはいったい何なのでしょうか。またベビーシートはいつまで使えばいいのか、対象年齢についてチェックしてみましょう。
子供の安全を守るために、ピッタリのものを選びたいですよね。しかし、「ベビーシート」や「チャイルドシート」は種類が多く、どれを選べばよいか迷ってしまうのではないでしょうか。今回は、「チャイルドシート」と「ベビーシート」の違い、選び方、ISOFIX(アイソフィックス)対応チャイルドシート、安全な取付方法までをご紹介しますので、ぜひ、シート選びの参考にしてみてください。
目次
ベビーシート、チャイルドシートとは?
ベビーシートは新生児のときから1歳前後の赤ちゃんを車に乗せる時に使うものです。ベビーシートの着用に関して厳密な年齢の制限はありませんが、首がすわって、体重が10キロ未満で身長が70センチ頃までが、ベビーシートを使う期間の目安となります。
チャイルドシートとは
1歳~4歳くらいの幼児を車に乗せる時に使うものです。5歳まではチャイルドシートを着用しなくてはならない決まりになっています。
使用義務を守らないとどうなる?
チャイルドシートは、平成12年より義務化されました。「道路交通法第71条の3第3項」により、自動車の運転者は、チャイルドシートを使用しない6歳未満の幼児を乗せて、運転してはならないことが決められています。(警察庁 https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/childseat.htmlより)
【自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であって、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。「道路交通法第71条の3第3項より」】
では、「ちょっとそこまでだから」と軽い気持ちでチャイルドシートの使用義務を破るとどうなるのでしょうか。
これを守らないと「幼児用補助装置使用義務違反」! 運転手に対してもれなく違反点数1点がマイナスされることになっています。使用義務は「6歳未満の幼児」と明記されているので、0~5歳の子供のチャイルドシート使用が義務対象となます。
チャイルドシートによる悲惨な事故
2017年2月、「新潟市の2歳女児がチャイルドシートを嫌がりだしたため、ベルトをせずに祖父宅に子供3人を連れて遊びに出かけた。その帰り、母親の運転する車が事故を起こし、2歳女児が死亡。原因は母親の居眠り運転だった。(朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASK2S7SN2K2SUTIL06K.htmlより)」
2021年8月31日の朝、福岡県田川郡福智町伊方の片側2車線道路で母親が運転する軽乗用車が右折待ちの乗用車に追突、助手席でジュニアシートに座っていた5歳男児が腹部圧迫による内臓損傷により死亡。(毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20210831/k00/00m/040/130000cより)
また、きちんとジュニアシートを着けていたものの死亡事故が発生してしまいました。ジュニアシートを助手席に装着することは法令違反ではありませんが、エアバッグが大人を基準に設計していることから、国土交通省では膨張したエアバッグで子どもに被害が及ぶ可能性があるとして、後部座席に装着することをすすめています。
チャイルドシートの種類は全部で3つ
実は「チャイルドシート」は総称で、「ベビーシート」「チャイルドシート」「ジュニアシート」の3種類に分類することができます。
ベビーシートはどれも同じように見えますが、メーカーによって対象年齢や適応身長、体重などが違ってきます。ここからはそれぞれを見ていきましょう。
0~1歳頃は「新生児乳児用ベビーシート」
「ベビーシート」は名前通り、ベビー用で新生児~1歳頃までが使用可能です。目安は身長70cm以下、体重13kg以下、腰がすわるまでの新生児乳児専用チャイルドシート。
一般的なベビーシートは、座面と背もたれが一体式となっているイス型のシートです。ベビーベッドのように寝かせて乗せることができ、赤ちゃんを進行方向とは逆向きに、45度に背もたれを保つように装着するものが一般的です。
1~4歳頃は「幼児用チャイルドシート」
「幼児用チャイルドシート」は1~4歳頃までの幼児が使うのに適したもの。一人座りができるようになると、ベビーシートからチャイルドシートに切り替えます。ただし、ベビーシートとは違い、車の進行方向と同じ前向きに座るように取り付けます。
3~12歳頃は「学童用ジュニアシート」
「学童用ジュニアシート」は3~12歳頃に使用するのに適したものです。一般的には、車のシートに置くだけの簡単なタイプ。
適応年齢になっても身長や体重が足りない時は、適切な位置にシートベルトが来ないこともあります。もしものときに首や腹部をシートベルトで圧迫して危険ですし、簡単に抜け出してしまうこともあるので、適切な位置にシートベルトが来るまでチャイルドシートを使って待つのも手です。
SOFIX(アイソフィックス)対応チャイルドシートとは
突然ですが「ISOFIX(アイソフィックス)」をご存じでしょうか。
聞き慣れない言葉だなと思った方もいるでしょうが、「ISOFIX(アイソフィックス)」はシートベルトを使わず、チャイルドシートとクルマの固定金具を連結するだけのカンタン装着チャイルドシートのことです。
コネクターでチャイルドシートを固定
「ISOFIX(アイソフィックス)」はコネクターでチャイルドシートを固定する方式の国際標準規格のことを言います。シートベルトで固定する従来のチャイルドシートは、取り付けに手間がかかる、しっかりと固定したつもりでも固定されていなかったという問題がたびたび起きていました。
警察庁とJAFが行った「2019年チャイルドシート使用状況全国調査」(JAF https://jaf.or.jp/common/safety-drive/library/survey-report/2019-child-seatより)によると、乳児用では43%、幼児用では60.9%に付け方に何らかのミスがあるとの調査結果がありました。
ミスは腰ベルトの締付け不足、座席ベルトの通し方間違い、車両との不適合による座席ベルトの長さ不足などがあげられています。
そのため、2006年から「ISOFIX(アイソフィックス)」が採用され、2012年7月以降発売の車はISOFIXへの対応が義務化されています。
チャイルドシートの選び方は?
一般的にチャイルドシートと呼ばれていますが、前述した通り、「ベビーシート」「チャイルドシート」「ジュニアシート」と3種類のシートがあります。中には、この内の2つの時期を兼ね備えた便利なものもあります。
チャイルドシートのタイプを選ぶ
チャイルドシートには対応可能な年齢、目安の身長や体重が明記されていますが、あくまで目安。適応体重や身長を確認し、乗せる子供に適応しているのかをしっかりとチェックしましょう。
車への固定方法を選ぶ
車への固定方法は「シートベルト固定」と「ISOFIX固定」があります。
「シートベルト固定」は車に備えている3点式シートベルトで固定するもの。ほとんどの車に取り付けが可能で、しかも安価なモデルが多いのも魅力です。
「ISOFIX固定」は車に標準装備されているISOFIX取り付け金具を利用するものです。シートベルト固定式のように緩んでしまう心配や誤って外れてしまうトラブルもなく、安心して使えます。ただし、2012年7月以降の車種に限ります。
安全基準を通過しているものを選ぶ
国土交通省の安全基準に適合したものには認定マークが製品に表示してあります。(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/02assessment/child_h21/standard.htmlより)
チャイルドシートにはどんな種類がある?
シートのタイプは2種類あります。回転式と固定式どっちが良いのか迷いますよね。
回転式タイプ
回転式チャイルドシートは、くるりと回せてスムーズに乗せ降ろしができて便利です。コンビやアップリカをはじめ多くのメーカーから販売されていて、取り付け方法や機能はさまざま。
固定式タイプ
自動車に付いている大人用のシートベルトを使って固定するタイプです。ほとんどの自家用車に取り付けが可能です。基本的には、後部座席の両サイドに取り付けができるようになっています。
チャイルドシートの安全な取り付け方法
購入したチャイルドシートが、すべての自動車に取り付けられるわけではありません。製品によって異なるので適合しているかどうかをまずはチェックしましょう。
取付位置は後部座席がマスト
助手席にエアバッグが装備されているので助手席に後ろ向きチャイルドシートを取り付けるのは極めて危険です。取付位置は後部座席を。
しっかりと固定すること
しっかりと固定することが大切です。ベルトストッパーがある場合は、先にチャイルドシートに体重をかけ、車両の腰ベルトのみで固定できるぐらいに車両ベルトを引っ張ってから止めるとうまく固定できます。取扱説明書や取付動画で必ず確認しましょう。
炎天下でのやけどに注意
夏は高温注意報が出るほどですから、炎天下での駐車時には特に注意が必要です。チャイルドシート本体、バックル、ベルトの金具部分などが熱くなり、やけどする危険も。各部に触れて、熱さを確認した上で使用しましょう。
まとめ
ベビーシート、チャイルドシートは赤ちゃんの安全につながる大切なことです。自動車の環境やお出かけスタイルにあったチャイルドシートを選ぶことで赤ちゃんにとっても、ママパパにとっても快適になります。
また、赤ちゃんは急に熱を出したりするものです。緊急時にベビーシートがなくて車に乗せられないということがないように、できる限り前もって準備をしておきたいもの。さらに普段は車にあまり乗らない、車を持っていないという方はレンタルという手もあります。ぜひ、使いやすいベビーシート、チャイルドシートをしっかりと選んでください。