赤ちゃんの頭を触ったときに
「ぽこぽこしているな」
「柔らかいな」
と感じたことはありませんか?
または、
「うちの子、頭の形が変かも…」と心配していませんか?
実は、赤ちゃんの頭は柔らかく、変形しやすいもの。
1歳~1歳半頃になると自然とその隙間の部分が閉じていき成長するにつれて、頭も次第にかたくなっていきます。
この記事では、赤ちゃんの頭の変形が起こる原因や、種類、矯正方法、そして注意すべき症状について詳しく解説します。
赤ちゃんの頭の変形は、早期に対処することで改善できる場合もあります。正しい知識を身につけて、安心して子育てをしましょう。
目次
赤ちゃんの頭は変形するの?
赤ちゃんの頭は非常に柔らかく、早くて、おかあさんのお腹のなかにいる頃から、変形すると考えられています。
お腹の中で子宮が圧迫されることによって、頭が変形します。
また出産のとき、おかあさんの体から出てくるときに産道を通りやすいように頭の形を細くできるようになっています。
特に吸引分娩などを行うときには変形しやすくなっているといわれています。
赤ちゃんの頭が柔らかい部分
頭のなかでは、頭蓋骨がいくつかのパーツに分かれていて、生まれたての時はまだその骨と骨がくっついていません。そのすき間が触ると柔らかい部分になっています。
そのすき間が一番大きい、おでこの上の前頭部中央にある部分のことを大泉門(だいせんもん)といいます。ひし形のような形で触るとポコポコとへこむような感触があります。
このすき間や大泉門の部分も1歳から1歳半頃に閉じていき、2歳頃になると完全に閉じてほとんど手で触れなくなります。
赤ちゃんの大泉門、気をつけることはある?
赤ちゃんの頭は骨と骨のすき間があり、やわらかくなっていることをお話ししました。
何か気を付けることはあるの?
赤ちゃんの頭は骨と骨のすき間があるといっても、脳は丈夫な筋膜で覆われています。少し触れたくらいで傷つくことはありませんよ。日常の生活の中で、頭を洗ったり、タオルで拭いたり、くしで髪をとかすなどの動作は気にしすぎる必要はありません。しかし、強くおさえすぎないようには注意し、優しく触れてあげるようにしてくださいね。
また、頭を強く揺さぶられたり、強い衝撃を受けたりした場合は脳内出血することもあるため、十分注意が必要です。
特に首がすわるまではしっかりと支えてあげるように抱っこしたり、衝撃を与えないようにしたりしてあげましょう。
頭のゆがみの種類
先ほど「赤ちゃんの頭は変形する」という話をしましたが、一口に「赤ちゃんの頭の変形」といってもいくつかの種類があるんです。
斜頭症(しゃとうしょう)
「斜頭症」は、赤ちゃんの頭を上から見たときに、後頭部が斜めに歪んでいて左右非対称になっている状態です。
このゆがみが進行すると耳の位置や顔面が左右非対称になることもあるので少し注意してあげる必要があります。
また、場合によっては治療が必要になるケースもあります。主な原因としては、聞いたことがあり注意しているママさんも多いと思いますが、寝ているときの向きぐせが原因で起こります。
それだけでなく、出産時の状況によっても斜頭症が起こることもあります。
長頭症(ちょうとうしょう)
「長頭症」は、赤ちゃんの頭部が通常よりも縦に長く伸びてしまい、後頭部が大きく突出している状態です。
主に、赤ちゃんが横向きで寝かせられていることが原因で起こります。そのほかママさんには防ぎようがない状況もあります。
たとえばNICU(新生児集中治療室)で治療を受けている赤ちゃんは処置の関係で横向きに寝かせられていることが多いため、長頭症になりやすいと言われています。
短頭症(たんとうしょう)
「短頭症」は、いわゆる「絶壁頭」のことで、後頭部が丸みを帯びず平らになっている状態です。
比較的珍しくない頭のゆがみといえます。主に赤ちゃんを仰向けで寝かせていることが原因と考えられることが多いです。
【3選】頭のかたちを矯正する方法
頭部の変形は、成長とともに本人のコンプレックスになることもあるので心配になるママさんも多いでしょう。
もちろん赤ちゃんのうちはママさんパパさんが早めに何か対処していくことが一番ですので、気づいたらぜひ対応してあげましょう。
体位変換
生後まもない赤ちゃんの場合には、頭部の変形が軽度の場合であれば、赤ちゃんの体位改善によって頭部の変形を矯正できる場合があるんです。
これは日中、赤ちゃんが起きている時間に行います。赤ちゃんにさまざまな体位をとらせながら、向き癖を軽減させていく「タミータイム」という手法が有効です。
ヘルメット治療
頭部の変形が中程度以上の場合には、体位変換だけでは頭部の変形を矯正が難しいことがあります。その場合でも方法はありますので大丈夫です。
「リモルディングヘルメット」による矯正治療を選択します。突出部がこれ以上突き出さないように抑制していきます。
頭部のゆがみを矯正しながら、歪みによって頭の成長が欠如している部分に対して今後の成長を優位に促すという目的も兼ねています。
外科手術
外科手術と聞くと驚いてしまうママさんも多いかと思いますが、赤ちゃんの頭のゆがみの原因には「頭蓋骨縫合早期癒合症」という病気が原因になっているケースもあります。
この場合、上記の矯正方法では治療することが難しいと判断されるため、外科手術によって頭部のゆがみを解消していくことになります。
赤ちゃんの頭部と「大泉門」の関係
赤ちゃんの頭部のには「大泉門」という部位があります。これが赤ちゃんの頭部のゆがみに深く関わっているケースが多いんです。
泉門とは?
「泉門」とは、新生児の頭の骨の境目にあります。骨化がまだ進んでいない結合組織膜の部分となります。
また、泉門のうち、左右の前頭骨と左右の頭頂骨に挟まれている菱形の箇所を「大泉門」、左右の頭頂骨と後頭骨の間にある三角形の箇所を「小泉門」といいます。
大泉門はどんな役割がある?
大泉門は、要するに「赤ちゃんの頭部の骨の隙間」のことなのです。この隙間には、産まれてくる時やこれからの頭の成長の為に必要な役割があります。
赤ちゃんが産道を通る際にスムーズに通れるような余裕を作るほか、脳みそや周囲の組織の成長に対応するために、大泉門という隙間で余裕をもたせています。
大泉門が塞がる時期はいつ?
赤ちゃんの大泉門が塞がるのは、一般的に2歳前後と考えられていますよ。
ただし、これには個人差が大きく、赤ちゃんによっては生後数か月で大泉門が閉じてしまうこともあるようです。
基本的に早すぎても遅すぎても個人差の範囲として収められますので問題ないので過剰な心配は無用ですよ。それでも、気になる場合には病院で診てもらうことをおすすめします。
2歳になっても大泉門が閉じていない?
大泉門は1歳半~2歳頃に閉じていくといわれていますが個人差はあります。
頭囲の大きさが標準で、発育に問題がなければ少々閉じるのが遅れても大丈夫だといわれています。
しかし、
- ・大泉門が閉じるのが早い、あるいは遅い
- ・頭囲の大きさも標準でない
など心配になったときには、健診のときやかかりつけ医に相談するようにしましょう。
赤ちゃんの柔らかい頭を守る方法は?
大人と比べて赤ちゃんの頭部は柔らかいので守ってあげる必要があります。ちょっとした事故でも赤ちゃんの柔らかい頭部は大きなダメージを受けてしまうことがあります。
そうした赤ちゃんの頭部を守るためには、ママさんパパさんが細心の注意を払うことも必要なのですが、四六時中目を離さないということは難しいものです。
そこで、赤ちゃんの頭部を守るためのグッズの力も借りるという方法もあります。
たとえば、「ヘッドガード」と呼ばれるクッションを赤ちゃんに身に着けてあげることで、転倒してしまったときの頭部へのダメージを最小限に抑えられます。
とくに「リュックタイプ」と呼ばれるヘッドガードは通気性が良く、頭部への締め付けもないので赤ちゃんにとって快適に装着することができますよ。さまざまなグッズを試してみて、赤ちゃんにとって装着し心地の良いグッズを選んであげてくださいね。
こんなときは受診を
- ・赤ちゃんの頭のゆがみが強い
- ・嘔吐とともに大泉門が腫れてきたとき
- ・嘔吐や下痢とともに大泉門がへこんだとき
- ・頭に衝撃をうけたとき
こんな場合はすぐに受診するようにしましょう。