胎動を感じると、「本当にお腹の中に赤ちゃんがいるんだな」と実感する方も多いかと思います。週数が経つにつれて、だんだん赤ちゃんも活発に動き始め、お腹に手を当てると蹴られているのがはっきり分かるほどに。
しかし、「他のママさんたちの話を聞いていると、うちの子は胎動が少ない気がする」「前より胎動を感じなくなった」など、胎動に関して心配する方もいらっしゃいます。
他のママさんたちと比べてしまったり、少し前まで感じていた胎動が少なかったりすると不安になりますよね。
この記事では、まずどのような場合だと胎動が少ないとされるのか説明し、胎動が少ない原因を解説していきます。また、胎動の検査方法や病院の受診目安についてもみていくので、ぜひ参考にしてくださいね。胎動が少ないとお悩みの方のために、少しでもお役に立てれば幸いです。
目次
胎動とは
胎動とは、お腹の中の赤ちゃんが動くことをいいます。妊娠生活にも少し慣れた頃、「今のは胎動かな?」と少しお腹が動いたような感覚を味わう方もいらっしゃるでしょう。
胎動はそのくらいほんの僅かな動きから始まります。ドラマのように、いきなりお腹がポコンと動くのを感じて驚くというわけではないんです。
もちろん胎動の感じ方は人それぞれではありますが、週数が経つにつれて赤ちゃんの動きも変わっていきます。以下はお腹の中の赤ちゃんの動きや胎動の感じ方についてまとめたものです。
赤ちゃんの動き | 胎動の感じ方 | |
妊娠初期 | まだ赤ちゃんは小さいので、それほど動きはない | ポコポコと空気がお腹の中で弾ける感じ |
妊娠中期 | ・一番よく動く ・体も大きくなり、手や足を伸ばすようになる ・ぐるぐる動き回る ・しゃっくりをする | ・蹴られているのがわかる ・お腹がボコボコ動いているのを感じる |
妊娠後期 | ・頭が骨盤のあたりに固定され始めるので、あまり動かない ・動くときはダイナミックな動き | 力が強すぎて恥骨が痛くなる |
胎動は、赤ちゃんの成長とともに徐々に活発になっていき、そして生まれてくるための準備に入ります。上記に挙げた動き以外にも、手をグーパーしたり、おしっこをしたりと、お母さんが感じることのできない動きもしている赤ちゃん。
なんだかお腹の中で、生まれたあとにどんな風に動くのか練習をしているみたいでかわいいですよね。胎動は赤ちゃんが一生懸命生きているのを感じられる大事な証でもあるのです。
胎動の感じ方
胎動はほとんどの方が妊娠18〜20週に感じ始めますが、これはあくまで目安で、個人差があります。
例えば、経産婦の方は一度胎動を経験しているので、割と早くに胎動を感じ始める人が多いです。しかし初産婦の方は初めての経験なので、お腹の違和感を胎動と認識するには時間がかかります。
この時点で、「もしかしたら胎動が少ないのでは?」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは感じ方の問題なので、健診で問題がなければ心配しなくて大丈夫ですよ。
胎動を感じにくい人
初産婦の方以外にも胎動を感じにくいという方がいます。まず、少しふくよかな体型の人は脂肪がついていることで赤ちゃんの動きを感じにくい傾向にあります。
厚い壁があると考えてみてください。厚い壁越しに叩いたり蹴ったりしても、はっきりとした動きを感じることは難しいですよね。とはいえ、赤ちゃんの動きは激しくなるので、元気な胎動が伝わるようになります。
また、羊水が多い方も胎動を感じにくいことがあります。羊水は、週数が経つにつれて多くなり、妊娠30週頃には約800mlに。
しかし中には、何らかのトラブルにより羊水が多すぎる状態にあると胎動を感じにくい方も出てきます。多すぎる羊水の中で赤ちゃんが動くわけですから、直接的な動きを感じることは難しいですよね。
他にも仕事などの関係で常に動き回っているような方だと、胎動があったとしても気づかないことが多いです。
胎動はリラックスしている状態が一番感じやすいので、せわしなく動いている方は、胎動を感じる余裕がないのかもしれません。
胎動を感じにくい人の特徴 |
・初産婦 ・脂肪がついている人 ・羊水過多の人 ・常に動いているような人 |
胎動が少ないとは?
「胎動が少ない」と感じるときは、それまであった胎動が急に感じられなくなった、または一番活発であるはずの妊娠中期にあまり動かないといった状況ではないでしょうか。
胎動に慣れてくると、大体赤ちゃんが動く時間帯や頻度などを掴んでくると思います。そのため、なおさら普段との違いを敏感に感じとり、心配になってしまいますよね。
胎動を感じにくいというのとは別で、「いつもの胎動とはなにか違うかも」と違和感を覚えたときに、胎動が少ないと感じるのです。
胎動が少ない原因
胎動が少ない原因として、先に妊婦さん側の感じ方や体質について説明いたしました。ここでは、赤ちゃん側の原因についてみていこうと思います。
○赤ちゃんがまだ小さい
赤ちゃんがまだ小さいと、動いていてもあまり感じにくいのが特徴です。「少しお腹がもぞもぞしている気がする」という程度だと心配になるかと思います。しかし赤ちゃんはまだまだ力も弱いため、これからどんどん成長するにつれて手や足がお腹の壁まで届くようになるのです。
まだ胎動を感じ始めた頃であれば、それほど心配せず、しっかり胎動を感じられるようになるまで気長に待ってみましょう。
○赤ちゃんが寝ている
赤ちゃんは、30~60分の間隔で寝たり起きたりを繰り返しています。そのため、「今動いていないな」と感じたら、それは寝ているだけかもしれません。朝、昼、晩などの感覚はまだ赤ちゃんにはないので、赤ちゃんのペースで活動しているのです。
○胎動を感じない動きをしている
赤ちゃんは、お腹の中で手足を動かすだけでなく、瞬きをしたり、手をグーパーしたり、あまりはっきりと感じられないほどの動きをしています。
そのため、「動いている気がするけど弱いな」と感じるときは、細かい動作をしているかもしれません。赤ちゃんはお腹の中でおしっこもするので、意外と知らないところで活発に動いているのです。
〇臨月に入るとあまり動かない
臨月に入ると、ほとんどの赤ちゃんが下向きになり、頭が固定されるため、それほど動きません。妊娠中期から後期にかけてとてもよく動いていた赤ちゃんが大人しくなると、何かあったのかと心配になりますよね。
しかし赤ちゃん自身も大きくなりますし、子宮も最大までパンパンなので、あまり余裕もなく動くのもやっとなのです。赤ちゃんも「そろそろお母さんに会う準備をしなくちゃ」と体勢を整えているのかもしれないですね。
○病的な理由
昨日まであった胎動が突然なくなった場合や、胎動を感じる間隔が減った場合、赤ちゃんに何らかのトラブルが起きている可能性もあります。
考えられるのは、へその緒が首に絡まって低酸素状態に陥っているかもしれないということ。心配な場合は、病院で一度診てもらうのが安心です。
胎動が少ないときの受診目安は?
自分では胎動が少ないと感じても、このくらいで受診してもいいのかな?と迷われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
胎動は妊娠週数ごとに違いますが、まず明らかに赤ちゃんの動きがなくなったといった場合は、すぐに病院へ行きましょう。上記で挙げたようなトラブルが起こっている可能性があります。
胎動が少ないと感じる場合は、少し横になったり、ソファに座ったりしてみてください。立ったり動いたりしている時より、リラックスした状態の方が胎動をよく感じることができます。しばらくその状態でいても胎動がそれほどない場合は受診したほうがいいでしょう。
お母さんが心配しすぎて体調を崩してしまうのも良くないので、悩んでしまう前にまずは病院に連絡してみてくださいね。
胎動が少ないときはどんな検査をする?
胎動が少ないと感じた場合、検査を受けて赤ちゃんの状態を調べることができます。普段の健診でも、妊娠後期になると行っていますが、「ノンストレステスト」と呼ばれるものです。検査方法やこの検査でわかることは以下の通りとなっています。
検査方法 | 検査でわかること |
・ベッドの横になり、あおむけの状態でお腹に検査器具を2つ装着 ・約20~30分ほど横になったまま ・赤ちゃんの胎動を感じたら毎回ボタンを押す | ・お母さんの子宮収縮の頻度みて、お腹の張りがないかどうか ・赤ちゃんの心拍をみて、異常がないかどうか |
こちらの検査はあおむけで行うことと、検査時間がかかってしまうことから、お母さんの体に負担がかかってしまう場合は無理せず中断することもあります。
また、超音波検査でも、赤ちゃんの心音を聞くことができるので、赤ちゃんの健康状態を確認できますよ。心配で次の健診まで待てないという場合は、一度医師に相談して検査を受けてみてください。
胎動が少ないときの自分でできる対処法
胎動が少ないかもと感じた時、自分でも試すことができる方法がいくつかあります。ここでは、胎動が少ない時の対処法を挙げていきます。
〇胎動カウント
「胎動カウント」のやり方はとても簡単です。胎動を10回感じるまでにどれくらい時間がかかるか計ればいいだけ。もし数え終わるのに1時間以上かかる場合は少し胎動が少ないかもしれません。
その時だけという可能性もありますがはっきりと断言はできないので、病院へ行くか、受診する前に電話で相談してみるのもいいでしょう。もし電話口で様子を見るように言われた場合は、一度病院側にも話をしているので、万が一何かあってもすぐに対応してくれるはずです。
〇お腹を少し刺激してみる
お腹は、あまりさすったり押したりするとだめですが、軽くポンポンとつついてみたり、話しかけてみるといいでしょう。赤ちゃんはお腹の外の声も聞こえているので、意外と反応が返ってくることもあります。
普段からおなかの赤ちゃんに向かって話しかけている人は、胎動が少ないと感じた場合も話しかけて反応があるか見てみるといいでしょう。
基本的に、お母さん自身でできる対処法としては、ゆっくりすること。お母さんにストレスが溜まっていたり、動き回っていたりすると、赤ちゃんも緊張状態になり、あまり動かないようです。
お母さんの心と赤ちゃんの胎動はどこかリンクしているのかもしれません。一度深呼吸して落ち着いた状態の時に胎動があるかどうか確認してみてください。
胎動が少ないと障害がある?
胎動が少ないと、赤ちゃんに障害があるのではないかと心配になるお母さんも中にはいらっしゃいます。「あまり動かないということは筋肉が発達していないのでは?」「発達障害があるのかも」という噂があるのですが、これには医学的な根拠はありません。
たまたま、胎動が少なかった子に障害があったということはありえますが、胎動が少ないことと筋肉の発達が関係しているかどうかは分かっていないのです。
逆に「胎動が多いとダウン症なのではないか」という噂もありますが、これも間違いです。胎動が少ないとお母さん自身も心配になってしまうため、さまざまなことを考えてしまい、余計に考え込んでしまうのかもしれません。
胎動の感じ方にはお母さんによって全く違います。そのため、胎動の「多い・少ない」の境界線はとても曖昧なものです。しかし、胎動が少ないからといって必ずしもその他の症状と結びついているというわけではないので、不確かな噂は信じないようにしてくださいね。
まとめ
胎動は赤ちゃんの健康バロメーター。そのため、胎動が少ないと感じた時は、お母さんも少しドキッとしてしまいますよね。赤ちゃんのことを思うからこそ心配になってしまうのですが、そういう時は少し冷静になるといいでしょう。
まずは胎動がどのような状態か確認すること。明らかに異常な場合はすぐに受診し、迷ったときは電話で相談して、医師の指示に従うようにしましょう。
初めての妊娠であれば特に動揺してしまうかもしれませんが、赤ちゃんもお腹の中で寝たり起きたりしています。元気に動くときもあれば、もぞもぞ動くときもあってさまざまなので、胎動にも多少の変化があると、心に留めておくといいでしょう。
普段の妊婦健診でしっかりと赤ちゃんの状態を確認してもらうのももちろんですが、パートナーにも一緒に胎動を感じてもらうと安心できると思いますよ。