妊娠中は食べ物にも気を遣いますよね。自分が食べたものがそのまま赤ちゃんに影響を与えてしまうので、何を食べたらいいんだろう?と悩まれる方も多いのではないでしょうか。
実際に妊娠中には食べてはいけないものがいくつかあるため、あらかじめチェックしておく必要があります。また妊娠中はホルモンの変化やつわりなどが原因で栄養不足になりやすいことも忘れてはいけません。
今回は妊娠中の必要な栄養素や食べてはいけないもの、量を減らしたほうがいいものについて解説していきます。妊娠初期・中期・後期で気を付けることや妊娠中のおすすめ食材も紹介いたしますので、参考にしていただけると幸いです。
目次
妊娠中の味覚や嗅覚の変化
妊娠すると、味覚に変化が見られます。例えば、それまで甘いものが大好きだった方が妊娠してからあまり食べなくなったり、無性に酸っぱいものが食べたくなったりといったことです。
また嗅覚にも変化が。例えば、炊きたてのご飯の匂いに吐き気がしたり、部屋の臭いが気になったりして、それまでなんともなかったにおいに敏感になります。
では妊娠前と後でなぜこのような変化が現れるのでしょうか。それは妊娠することによって起こるホルモンの変化が原因です。
妊娠初期にはほとんどの方がつわりを経験するかと思います。このつわりはホルモンの変化によって起こるもの。味覚や嗅覚の変化はつわりの症状のひとつなのです。
そのため、妊娠中期になりつわりもおさまってくると、味覚や嗅覚の変化も徐々に元に戻ってきます。個人差はありますが、それまで食べられなかったものもまた妊娠前のように食べられるようになりますので少し様子を見てくださいね。
妊娠中に必要な栄養素
妊娠中は、赤ちゃんに栄養を届けるため、またご自分の体調管理のためにもきちんとバランスのとれた食事をとることが必要です。ここでは妊娠中に必要な栄養素についてご紹介していきます。
葉酸
葉酸は妊娠中の特に大切な栄養素で、ビタミンB群のひとつです。赤ちゃんの先天性疾患の神経閉鎖障害や無脳症の発症を防ぐことができ、できれば妊娠前から妊娠初期にかけて摂ることが推奨されています。
しかし葉酸は、食事から摂ると吸収率がバラバラであまり効果が期待できません。そのため、サプリメントと併用して摂取することがいいとされているのです。
鉄
妊娠中に、貧血を経験する方も多いのではないでしょうか。妊娠中はお腹の赤ちゃんが成長していくにつれて大量の血液を赤ちゃんに送るため、妊婦さん自身の体の血液が不足しがちになってしまいます。
妊娠中によく起こるのが「鉄欠乏性貧血」です。ヘモグロビンを造るために必要な鉄分が不足することで起こるものなのですが、主な症状として息切れ、動悸、頭痛、めまい、立ちくらみなどがあります。
妊娠していない方でも4人に1人は貧血だといわれているので、普段から貧血気味の方や生理のときによく貧血になってしまうという方は特に、鉄分も気を付けて摂取していた方がいいでしょう。
たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や臓器などの形成に重要な栄養素です。特に妊娠中期になると必要となってくるので、積極的に取るようにしてください。
カルシウム
カルシウムは赤ちゃんの骨や歯などを形成する働きのある栄養素です。ビタミンDを同時に摂るとカルシウムの吸収が良くなるのでおすすめです。普段から不足しがちな方は積極的に取るようにしましょう。
食物繊維
妊娠中は、便秘になる方も多いため、食物繊維の摂取で予防するのがおすすめです。食物繊維は消化されにくいのが特徴的なので、妊娠初期には食べづらく感じるかもしれません。
その場合はなるべく食べやすいようにやわらかくしたり、細かくしたりするようにしましょう。
妊娠中におすすめの食材
妊娠中は必要な栄養素がたくさんあります。しっかりバランスよく摂りたいと思っても、
どの食材にどんな栄養素が入っているのか分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで妊娠中に食べるのにおすすめの食材を、栄養素ごとにまとめてみました。
栄養素が含まれているおすすめ食材 | |
葉酸 | ほうれん草、ブロッコリー、かぼちゃ、いちご、抹茶など |
鉄 | 小松菜、プルーン、レバー、赤身のお肉、しじみ、高野豆腐など |
たんぱく質 | 牛肉(もも肉)、豚肉(もも肉)、鶏肉(むね肉)、牛乳、ヨーグルトなど |
カルシウム | ごま、大根葉、水菜、豆腐、チーズ、しらす、わかさぎなど |
食物繊維 | ひじき、おから、大豆、アーモンド、干ししいたけ、昆布、アボカドなど |
上記以外にもまだまだありますが、ほうれん草や小松菜などの青菜や豆腐やおからなどの大豆製品が、妊娠中の栄養を摂るポイントとなっています。
これらは積極的に取り入れたい食材ではありますが、取りすぎると体調が整うどころか病気になってしまう可能性も。
赤ちゃんのためにといって同じものを義務的に食べるのではなく、楽しみながら栄養も摂るといったように食事をするといいですね。
妊娠中に口にしてはいけないもの
妊娠中は、体調や心の変化が目まぐるしく起こるため、食事くらいは楽しみたいなと思う方もらっしゃると思います。
楽しく食事をするということは大切なことなのですが、その際に赤ちゃんへの影響を考えて、口にしてはいけないものがあるということを覚えておかなければなりません。こちらは最低限守ってもらいたいことなので、ぜひチェックしてください。
生もの
生肉(生ハム)、生魚(寿司)、生卵、ナチュラルチーズなど |
上記のものは、妊娠中食べてはいけないものの一部です。生ものはあらゆる菌が含まれているため、赤ちゃんへの影響が心配されます。
例えば生肉ですが、こちらはトキソプラズマという寄生虫が含まれている場合もあることをご存じでしょうか。妊婦さんがトキソプラズマに感染すると胎盤を通して赤ちゃんも感染、先天性トキソプラズマ症になってしまう可能性もあります。
先天性トキソプラズマ症は、未熟児や、子宮内胎児発育不全、肺炎などを引き起こすため、妊娠期間中はしっかりと火を通して食べることが必要です。
また、生魚や加熱していない貝類にはアニサキスという寄生虫がくっついている場合があり知らずに食べてしまうと食中毒のような症状が出ます。
さらに妊娠中に食べてしまいやすいものがナチュラルチーズです。こちらはリステリア菌という細菌の一種が、加熱していないチーズなどから検出されることがあります。
特に海外製のナチュラルチーズなどは要注意。妊娠前に比べると、妊娠中はリステリアにかかる確率が高くなるので、たとえチーズが国産であっても食べるのはやめておくのが安心です。
生ものを食べることで起こりうる病気 |
・トキソプラズマ ・アニサキス ・リステリア |
アルコール
アルコールはタバコと同じく、妊娠中の摂取は強く禁止されています。赤ちゃんがアルコールを摂取してしまうと、赤ちゃんの成長に悪影響をもたらす可能性があるからです。
妊娠が分かる前は仕方がないですが、妊娠が分かったあとはできるだけすぐ禁酒し、心配な場合は一度病院で検査してもらうと安心できますよ。
妊娠中は量を減らしたほうがいいもの
絶対に食べてはいけないというわけではありませんが、できるだけ口にしないか、量を減らした方がいいものもあります。こちらは適正量を守っていれば基本的には大丈夫なので、ご紹介していきます。
カフェイン | ・珈琲や紅茶などに含まれている ・多く摂り過ぎると自然流産のリスクが上昇 ・赤ちゃんの発育を妨げる ・コーヒー…1、2杯/1日 ・紅茶…2、3杯/1日 |
水銀 | ・海の中の微生物や魚に含まれている ・少量なら問題はなし ・水銀を多く含む魚をたくさん食べると、赤ちゃんの中枢神経の発達に影響 ・ミナミマグロ、マカジキなど…切り身1切/週2回まで ・クロマグロ、メカジキなど…切り身1切/週1回まで |
ヨウ素 | ・昆布やわかめなどの海藻類に含まれている ・過剰摂取すると赤ちゃんの甲状腺機能が低下 ・毎日は摂らないように注意 |
ヒ素 | ・ひじきに含まれている ・過剰で摂取すると中毒症を起こす ・赤ちゃんに奇形や脳障害を起こすことも ・乾燥ひじきをそのまま食べずに水に戻したり、煮たりして食べるとOK |
時期別の注意点をチェック!
妊娠中は、ホルモンの変化がダイレクトに妊婦さんの体調に影響してきます。そのため、食事の面でも妊娠初期・中期・後期でかなりの変化が。ここでは、時期別に食事の取り方についてどのような注意が必要かみていきます。
時期 | 状況 | 注意点 |
妊娠初期 | つわりでほとんど食べられない | ・量よりもバランス重視 ・1回の量を少なめにし、こまめに食べる ・サプリで栄養を補う |
妊娠中期 | 食欲が戻ってくる | ・食べ過ぎない ・お腹が張ってくる時期なので便秘にならないように |
妊娠後期 | 食欲増加 | ・食べ過ぎない ・塩分の摂りすぎに注意 ・糖尿病や高血圧に注意 |
このように、妊婦さんは時期によって体調に違いがあります。そのため、ご飯の食べられる量も変わってきますし、便秘予防や糖尿病予防など気になる症状や病気によって食べ方も工夫しなければなりません。
妊娠中はちょっとしたことですぐに体調が変わるので、栄養不足や偏りがないように十分注意することが大事なのです。
まとめ
妊娠中の食事は気を付けるべきポイントがたくさんあります。それまで食べられたものが、赤ちゃんには悪い影響を与えてしまうなんて、きちんと知っておかないと怖いですよね。
妊婦健診で、妊娠中の食事についての説明もあるかと思いますが、血液検査などで数値が引っかかって初めて「この食材を食べてしまったからだ」と分かることもあります。
この時にまだ改善できる余地があればいいですが、過剰摂取などによって取り返しのつかないことになることも十分あり得ます。
そのため、事前にどの食材は食べていいのか、何に気をつければいいのかしっかり理解しておくことが大切です。
とはいえ、あまりナーバスになってしまうのもまた体に悪いので、考えすぎるようなことはせずに食生活を見直すきっかけとして、今回ご紹介したものを参考にしていただければと思います。