おりものは女性にとって健康のバロメーターのようなもの。色や量・臭いによって、体の状態が分かります。おりものの変化によって「妊娠したかも?」と気づくことも。
「おりものが出る時の感覚が気持ち悪い」「下着が汚れるのが嫌」という方も多いでしょう。しかし、おりものの役割を知ると、こんなに大事なものなんだと理解できると思います。
この記事では、おりものの役割や変化について解説し、妊娠初期のおりものについてもみていきます。
「そもそもおりものってなんだろう?」「妊娠初期のおりものってどんな感じ?」と気になる方のために、お役に立てれば幸いです。危険、要注意なサインのおりものもありますので、ぜひチェックしてみてください。
目次
おりものって何?おりものの役割とは
おりものとは、子宮や膣などから分泌されたものや、古い細胞が剥がれ落ちたものが混ざった液体のことをいいます。
時期によって、サラサラしていたりねばねばしていたりとさまざま。わずらわしいなと思うことも多いでしょうが、おりものにはちゃんとした働きがあるのです。
膣内をきれいにして雑菌から守ってくれる
女性の体の構造をみてみると、膣は肛門や尿道と近いですよね。そのため、雑菌が入りやすい状態にあります。
その雑菌から守ってくれるのがおりものです。雑菌が膣内や子宮に入ると、さまざまな病気を引き起こしてしまいます。おりものは膣をきれいに保つため、内側から守ってくれているのです。
スムーズな受精ができるよう手助けし、体の負担も軽減してくれる
おりもののもう一つの働きは、排卵時に精子が卵子のところまで届きやすくするよう手助けすることです。性交渉の際の痛みも緩和してくれますし、女性の体に負担がかからないようにしてくれます。
おりものの変化
おりものは、常に同じ状態で出てくるわけではありません。量や臭い、形状などもさまざまな条件によって変わってきます。
ここでは、年齢や生理周期によるおりものの変化についてみていきます。「どうしておりものにここまで変化があるの?」と気になる方のためにわかりやすく解説していくのでご参考にしてくださいね。
年齢によるおりものの変化
おりものは年齢によって違いがあります。生理が始まり終わるまでの間、どのように変化していくのでしょうか。
初潮〜10 代 | 徐々に量は増えていくが女性ホルモンの分泌が安定しないため、量も不安定 |
20〜30代 | ・女性ホルモンが一番活発に分泌される時期 ・おりものの周期は安定するが、量が増える ・おりものシートをこまめに交換するなどして清潔感を保つのが重要 |
40代〜閉経まで | ・女性ホルモンの分泌やおりものの量が減少してくるため、乾燥気味に |
閉経後 | ・おりものはほとんどなくなるため、感染症や炎症などにかかりやすくなる ・カサカサと乾燥している状態でかゆみも出るため、より清潔に保つ必要がある |
おりものは子どもから大人の体に変化していくにつれて量が増え、閉経を迎えるとともに減っていきます。おりものには女性ホルモンの分泌が深く関わっていることがわかりますね。
生理周期の中でのおりものの変化
おりものは、生理周期の中でも変化があります。量や形状、臭いなども違うのです。
生理直後(卵胞期前半) | ・量が少ない ・サラッとしている ・生理の終わり際の経血とおりものが混ざって茶色っぽい |
卵胞期後半 | おりものの量が増える |
排卵期 | ・一番量が多くなる ・卵白に似ている ・透明でとろみがある ・においは強くない ・2〜3日続く ・まれに排卵時に少量の出血があり、おりものと混ざることも |
黄体期 | ・量がだんだん少なくなる ・白く濁っていて、のりのようなドロッとした状態に ・下着につくと黄色っぽく見えることも |
生理前 | ・ドロッとした粘り気がある ・白く濁った状態 ・再び量が増え始める ・少し血液が混ざることも ・臭いも強くなっていく |
生理中 | 子宮内膜が剥がれ落ち、血液やおりものが外へ排出される |
妊娠初期のおりものの特徴|生理前との違い
妊娠の初期症状として、生理とは違う少量の出血(着床出血)や吐き気、眠気、便秘がちになる、わけもなくイライラするなどさまざまな体の変化がありますが、おりものもそのひとつに含まれます。
妊娠超初期症状のチェックポイント
・おりものの量が増えた、色が変わった
・少量の出血
・腹痛・下腹部痛・お腹が張る
・つねに眠い、昼間に眠くなる
・食欲がなくなった、食欲がありすぎる
・めまいやふらつき
・なんだか熱っぽい
・わけもなくイライラする、気分が落ち込む
・便秘がち
・胸が張る、乳頭がチクチクする
ここでは生理前のおりものと妊娠初期のおりものを紹介し、どのような違いがあるのかみていきます。
生理前と妊娠初期のおりものの違い
生理前のおりもの
おりものは生理が終わると一度少なくなりますが、生理直前までにはまた徐々に増加していきます。色は白く濁っていることが多いですが、下着やおりものシートにつくと黄色に変色します。
まれに、生理が始まる前に少しずつ出血があると、おりものがピンク色だったり、うすい茶色だったりすることも。臭いは生理が近づくにつれてきつくなり、少し甘酸っぱいような臭いがします。
妊娠初期のおりもの
妊娠初期のおりものは、量が多くサラサラとして水っぽいのが特徴です。色は白っぽかったり、時間が経つと黄色に変色したりします。
妊娠すると、エストロゲンというホルモンが多く分泌されるため、量も増えるおりもの。これからお腹の中で成長していく赤ちゃんを、外部からの雑菌から守ってくれているのです。
臭いについても変化があり、つんとした酸っぱいにおいがすると感じる方も多いでしょう。これらの変化は個人差があるため、生理前とほとんど違いがない方もいます。そのため、おりものだけでは妊娠したかどうかの判断はつきにくいです。
その他の体調の変化にも注目して、もしかしたらと思ったら一度病院で受診・検査してみてくださいね。
違う点 | 似ている点 | |
生理前 | ・徐々におりものの量が増加 ・白く濁っている ・甘酸っぱい臭い | ・後で黄色に変色する ・臭いが強くなっていく ・少量の血が混ざるとピンク色や茶色になることも |
妊娠初期 | ・水っぽく量が多い ・サラサラしている ・酸っぱくてきつい臭い |
妊娠初期の出血は大丈夫?妊娠初期症状や特徴
妊娠初期には、おりものと混ざって少量の出血が見られることがあります。妊娠に気づいていない方は「生理に比べると量は少ないけど、この出血はなんだろう?」と不思議に思う方もいるではないでしょうか。
また、妊娠していることが分かっていても少量の出血があると「何か悪い出血だったらどうしよう」と心配になる方も多いのではないでしょう。
妊娠初期に出血があるのはいくつか原因が考えられます。心配しなくても大丈夫なものから、要注意なものまであるので紹介していきます。
出血の種類 | 症状 | 色/量 |
着床出血 | ・着床とは精子と卵子が出会って受精卵となり、子宮内膜にくっつくこと ・着床出血とは着床の際に子宮内膜が傷つき、まれに出血を起こすこと ・大体妊娠4週目頃に起きるため、生理のタイミングと重なる ・生理の始まりなのか、着床出血なのか区別がつきづらい ・着床出血は2~3日で終わるため、出血の期間が短いのが特徴
| 赤・茶/少量 |
絨毛膜下血腫 | ・着床出血と少し似ているが、受精卵が着床する際に、子宮内膜の血管が傷つけられることで出血 ・出血した塊のことを「絨毛膜下血腫」という ・出血が少ない場合はそのまま吸収されるが、出血が多いと膣外まで出てくる ・大体が長くて1週間ほどで止まる ・妊娠していることに気づいていない場合、ここまで続くと生理と間違える可能性も ・妊娠していることが分かっている場合、妊娠中期になっても出血が続いているようであれば流産の可能性もあり →すぐに病院での受診、詳細検査が必要 | 赤・茶/少~大量 |
胞状奇胎 | ・胎盤をつくる絨毛組織が異常に増えてしまうこと・粒のようなものが子宮いっぱいに増え、胎児がその中に吸収されてしまう ・このような状態になってしまうと、妊娠を継続させることはできない ・子宮内の絨毛を取り除く手術が必要 ・超音波検査で診断される ・極少量の出血や赤茶色のおりもの、ひどいつわりなどの症状がある方も多い | 褐色~赤/ 少量か、おりものに混ざる程度 |
子宮外妊娠 | ・受精卵が子宮以外に着床してしまうこと (卵管、卵膜、腹膜など) ・少量の赤い出血 ・徐々に出血量が増え、腹痛も ・約1~2%の頻度で発症 ・妊娠検査薬では陽性と出るが、超音波検査で子宮外妊娠が発覚する ・胎児は子宮以外では成長できないため、妊娠の継続はできない | 赤/少~大量 |
早期流産 | ・妊娠12週未満に起こる流産のこと ・ほとんどの原因は、胎児の染色体異常 ・出血量や腹痛の有無は個人差あり ・赤ちゃんの成長が思わしくない場合は早期流産となってしまう可能性が高くなる | 赤/少~大量 |
切迫流産 | ・妊娠22週未満に流産につながるような出血がある状態 ・流産したのではなく、しかかっている ・出血量は個人差あり ・出血量が多かったり、腹痛があったりすると危険 ・妊娠を継続できることが多い ・絶対安静で、入院が必要な場合も | 赤/少~大量 |
前置胎盤 | ・胎盤が子宮の出口の一部や全部を覆っている状態 ・無症状の場合が多い ・痛みが無くても出血してくることも ・超音波検査で発見されること多い ・少量の出血が何度か起こることが多い ・前置胎盤になると帝王切開での分娩がほとんど | 赤・ピンク/ 少~大量 |
この他にも、子宮系の病気が原因という可能性もあります。妊婦健診では子宮頸がんなどの健診も行っているため、早期発見もできますが、心配な出血がある場合は、すぐに担当医師へ相談してください。
要チェック!こんなおりものは危険!
おりものの変化は、「妊娠かも?」というサインだけではありません。何かの病気にかかっている可能性もあります。おりものがいつもと違ったり、痛みやかゆみがあったりする場合は、要注意です。ここでは、おりものの変化で見られる病気をいくつか挙げていきます。
病名 | 症状 | おりものの状態 |
クラミジア感染症 | ・感染して3週間後ぐらいにから下腹部痛 ・放っておくと、流産や早産の原因に | ・おりものの量が増える ・嫌な臭いがすることも |
カンジダ膣炎 | ・膣内にカビが繁殖し炎症を起こす ・妊娠でホルモンバランスが崩れ発症することも ・外陰部のかゆみ | ・白いカッテージチーズのようなもの ・ポロポロしている |
トリコモナス膣炎 | ・トリコモナス原虫が膣内に寄生して炎症を起こす ・外陰部のかゆみ | ・黄色や黄緑色 ・細かい泡状 ・腐ったような臭い |
子宮頸がん | ・子宮頸がんの初期症状はほとんどない ・進行すると症状が出る (性交時の出血、不正出血、下腹部や腰などに痛み) | ・茶褐色 ・粘り気がある |
子宮筋腫 | ・子宮筋層にできる良性の腫瘍 ・月経過多 ・不正出血 | ・水っぽい ・血が混ざってピンクや茶色に |
まとめ
妊娠初期には、普段とは違ったさまざまな症状が出ます。そのひとつであるおりものの変化は、少しわかりづらいかもしれません。ただでさえ、おりものをわずらわしいなと感じているのに、量が増えることでストレスに感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、「おりものは普段から女性たちの体のために一生懸命働いているんだ」と考えると、少し見方も変わってくるかもしれません。妊娠初期は特に、量が増えるということは、妊婦さんやお腹の中の赤ちゃんのためにと体が守ってくれているということ。なんだか頼もしく感じませんか?
妊娠初期は何かと不安で、そういう心の不安定な部分がおりものに出たり、自分でも気づいていない体の不調を知らせたりしてくれます。おりものの状態が少しでも変だなと感じたり、血が混ざったりしている場合は一度病院での受診・詳細検査をおすすめします。
ただの不正出血で済むこともありますが、妊娠の異常やその他の病気が隠れている可能性もあります。心配だなと思ったらそのままにせず、相談してみてくださいね。