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【助産師監修】妊娠後期の動悸を徹底解説|病気?原因は?病院に行くべき?

妊娠後期の動悸

 

妊娠中は、ママさんの身体にさまざまな変化が発生し、場合によっては何らかの病気・症状に悩まされることもあるでしょう。妊娠後期はとくにさまざまな症状が発生する可能性があり、たとえば「動悸・息切れ」という症状に悩まされることもあります。出産を控える状況としては、ちょっとした症状でもできるだけ早く解消したいところです。

 

ここでは、妊娠後期の動悸の原因と対処法について解説します。妊娠後期で動悸に悩んでいるママさんや、妊娠後期に向けての不安を少しでも解消したいママさんは、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。

 

 

そもそも動悸とは?

動悸とは

まずは、そもそも「動悸」という症状がどのようなものであるのかについて理解を深めておきましょう。

 

動悸とはどのような症状か?

「動悸」とは、胸に手を当てていないにもかかわらず、心臓のドキドキ・ドクンドクンといった拍動がわかる状態のことです。心臓にかかわる症状であるため、仮に命にかかわる原因によるものでないとしても不安に感じる方は少なくありません。

 

一口に「拍動を自覚する」といっても、さまざまな症状の表れ方があります。たとえば「拍動が早く感じる」「拍動が大きく感じる」といった違いがあり、それぞれに原因が異なる場合があり、原因が何らかの疾患である場合は動悸の感じ方でどのような疾患かを判断する材料にもなります。

 

動悸が起こるメカニズム

動悸の原因は「緊張や興奮などの一時的な原因」と「病気を原因とするもの」に分かれます。

 

心拍は「自律神経」によってコントロールされています。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、精神的に不安なことや緊張することがあると交感神経の働きが強くなるのです。交感神経が副交感神経より高まると、筋肉がこわばって血圧が上昇し、呼吸が自然と浅くなって動悸が起こります。

 

しばらくすると交感神経の強まりが治まり、副交感神経が活発になります。副交感神経の強まりによって筋肉はゆるみ、血圧が下がって身体はリラックス状態となり、動悸が治まるのです。一時的な原因の場合はこれで動悸が解消されるのですが、緊張する場面や運動をしたわけでもないのに動悸が起こり、これが継続する場合は何らかの病気が疑われます。

 

 

妊娠後期に動悸が起こる原因

妊娠後期に動悸が起こる原因

妊娠後期になると、それに由来して動悸が発生する可能性があります。

 

血流量の上昇による貧血

1つ目に考えられるのは「血流量の上昇によって引き起こされる貧血による動悸」です。

 

妊娠中は、妊娠前よりも血液の流れている量が大幅に増加し、これは臨月に近づくにつれてどんどん増えていきます。しかし、血液中の「赤血球」の数はそこまで変化がありません。そのため、いわゆる「血液が薄い状態」になってしまい、「鉄欠乏性貧血」を引き起こす可能性があるのです。

 

また、血流量が増えるということは、血液を全身に送り出しているポンプの役割をしている心臓の負担も大きくなるということです。これらの理由から、妊娠後期には動悸の他にも息切れやだるさといった症状を感じる可能性があります。

 

大きくなった子宮による圧迫

2つ目に考えられるのは「子宮が大きくなって臓器を圧迫している」ことです。

 

出産を迎えるまでには、子宮の中で赤ちゃんは徐々に大きくなっていきます。赤ちゃんの成長に伴って子宮も大きくなるのですが、大きくなった子宮は次第にママさんの他の臓器を圧迫し始めます。

 

大きくなった子宮は次第に「横隔膜」を押し上げるのですが、これが心臓を圧迫することで動悸を引き起こします。また、肺を圧迫することで息苦しさを引き起こす可能性があるのです。妊娠後期ともなれば初期や中期と比較して子宮が大幅に大きくなっていますので、心臓などの臓器を圧迫することで動機などさまざまな症状を引き起こすでしょう。

 

ストレスによる自律神経の乱れ

3つ目の考えられるのは「ストレスによって自律神経が乱れたことによる影響」です。

 

自律神経が乱れると、動悸などの症状を引き起こす可能性があります。妊娠初期の段階だと「プロゲステロン」という女性ホルモンが急激に増加する影響で自律神経が乱れ、動悸などの症状を引き起こすのです。この女性ホルモンは次第に減少して落ち着いてくるため、妊娠後期にこの影響による動悸は考えにくいでしょう。

 

妊娠後期に自律神経を乱す原因として考えられるのは「ストレス」です。妊娠後期はさまざまな不快な症状に悩まされますし、出産を控えているというプレッシャーや、体型が変わったことで安眠できなくなってしまったというトラブルを抱えているママさんは少なくありません。ママさん自身も自覚していないうちに大きなストレスを抱えてしまい、これが自律神経を乱して動悸の症状を引き起こしていると考えられます。

 

処方薬「ウテメリン」の影響

4つ目に考えられるのは「ウテメリンという処方薬の副作用」です。

 

ウテメリンは、子宮の張り止め薬です。切迫早産などの傾向がある場合に処方されることがある医薬品なのですが、その副作用として動悸の症状が見られるケースがあります。ウテメリンを服用して動悸の症状に悩んでいるママさんは、早めに病院で相談しましょう。

 

 

注意したい原因「妊娠高血圧症候群」

注意したい原因「妊娠高血圧症候群」

妊娠後期の動悸にはさまざまな原因がありますが、いずれも基本的に「妊娠中の身体の変化」によりもたらされる症状です。そのため、多くの場合は適切な対処で出産を迎えれば問題ないのですが、注意したい原因の1つに「妊娠高血圧症候群」という病気があります。

 

妊娠高血圧症候群とは、妊婦さんの約20人に1人の割合で起こる病気であり、血圧が上昇します。それだけでなく、頭痛やめまい、吐き気やふらつき、目がチカチカするといった症状をもたらす可能性がある病気です。

 

何が問題なのかといえば、重症化することでママさんや赤ちゃんに悪影響が及ぶ可能性が高いという点です。妊娠高血圧症候群が重症化するとけいれん発作や脳出血、肝臓や腎臓に機能障害を引き起こすことがあります。また、お腹の赤ちゃんにも影響する可能性があり、赤ちゃんの発育が悪くなったり、赤ちゃんが生まれる前に胎盤がはがれてしまう可能性があるのです。

 

さらに、最悪の場合には赤ちゃんが亡くなってしまうことがあるため、妊娠高血圧症候群は母子の生命にも危険が及ぶ病気として十分な注意が必要となります。前述のような症状が見られたら、早めに病院で診てもらってください。

 

 

妊娠後期の動悸は治療が必要?

妊娠後期の動悸は治療が必要?

妊娠後期というデリケートな時期なので、動悸や息切れ、その他の症状があれば早めに解消したいところです。では「動悸があったら治療を受ける必要はあるの?」と言われれば、多くの場合はノーと回答して問題ないでしょう。

 

多くの場合は妊娠中の身体の変化による影響

「治療が必要」ということは、医薬品などの力を用いて体調を健康な状態に戻すことです。では、妊娠後期の動悸は不健康な状態であるのかといえば、そうではありません。妊娠後期の動悸はママさんの自然な変化において発生している可能性が高く、一部のケースを除けば治療が必要といえるほどの変化ではないでしょう。

 

とはいえ、動悸や息切れ、その他の症状を不快に感じているママさんは多いです。治療をする必要がないということは何もせずにただ我慢しなければならないのかといえば、そうでもありません。出産を迎えるまでに少しでもママさんの負担を軽くするためには、動悸などの症状に対して「治療以外の積極的なアプローチ」が重要になるのです。

 

適切なセルフケアで症状を緩和しよう

治療以外で動悸を何とかするとなると「セルフケア」が基本となります。セルフケアは病院での治療とは異なり、ママさんが日常生活の中でできるちょっとした工夫やアクションによって、不快な症状を軽減する方針です。

 

セルフケアの多くは手軽に実行可能な内容であるため、日常生活に取り入れやすいです。もちろん「面倒だなあ」と感じるかもしれませんが、うまくいけば動悸やその他の不快な症状を緩和して妊娠後期の日常生活を取り戻すことができるため、実践する価値は十分にあるといえます。

 

問題のあるケースもあるので念のため病院で診てもらうのがおすすめ

ただし、セルフケアだけではすべての原因を取り除くことはできません。場合によっては病院で診てもらい、きちんとした治療を受けなければ動悸を改善できないケースも考えられるのです。

 

前述の「妊娠高血圧症候群」のように、ママさんが自力で行えるセルフケアだけでは、どうしても解消できない病気や症状による動悸である可能性は十分に考えられます。これらの病気を放置するといつまでも動悸は治まりませんし、最悪の場合はママさんや赤ちゃんに何らかの悪影響が及んでしまう可能性もあります。

 

また、セルフケアの方法については後述しますが、ママさんごとに適切なセルフケアの方法を病院で教えてもらうという点においても、病院で診てもらうことには大きな意味があるといえます。動悸の症状に悩んでいる妊娠後期のママさんは、一度は病院で診てもらい、治療が必要かセルフケアで問題ないかを診断してもらいましょう。

 

 

妊娠後期の動悸を改善するためのセルフケアのやり方

妊娠後期の動悸を改善するためのセルフケアのやり方

妊娠後期の動悸は、セルフケアで改善できる可能性が十分にあります。もし、後述するセルフケアを実践しても症状の改善が見られない、あるいは悪化したという場合は、早めに病院で診てもらってください。

 

ラクな姿勢で横になる

1つ目の方法は「動悸が治まるような姿勢で横になる」という方法です。

 

普段の寝姿勢では十分に動悸を解消できないという場合は、普段とは異なる寝姿勢を試してみるとよいでしょう。体勢を変えて体をリラックスさせることができれば、動悸が和らぐ場合があります。

 

妊娠中のママさんによくおすすめされているのが「シムス位」という姿勢です。やり方は以下のとおりです。

 

1.体の左側を下にして横向きに寝る

2.身体をややうつ伏せ気味にして左足を楽な位置に伸ばす

3.右足を太ももの付け根から曲げて左足より前に出して置き安定させる

4.右手を肘で曲げて前に出して楽な位置で安定させる

5左手を体の後ろで自然に伸ばす

 

ただし、すべてのママさんにとってシムス位が最適な姿勢というわけではありません。お腹への負担を考慮しつつ、さまざまな寝姿勢を試してみて、最も動悸の解消や体調の改善に効果的な寝姿勢を見つけてみてください。

 

すぐ休める状況を整える

2つ目の方法は「動悸の際にすぐに休める環境・条件を整える」ことです。

 

動悸を感じたら、できるだけ早めに安静になって動悸が治まるのを待つ必要があります。ですが、通勤や立ち仕事など、どうしても長期間立ち続けなければならないという状況下もあるでしょう。

 

それでも、妊娠後期という時期を考えると、少しでも動悸の影響を抑えて生活を送る必要があります。そのため、たとえば「通勤時間をずらして電車が空いている時間帯に通勤する」「立ち仕事から変えてもらう、またはすぐに座れるように配慮してもらう」といった方法がおすすめです。

 

鉄分をとって貧血を改善する

3つ目の方法は「積極的に鉄分を摂取して貧血を改善する」ことです。

 

妊娠後期の動悸の原因の1つとして、血流量の上昇による貧血が挙げられます。その原因は赤血球が相対的に不足していることにより血液が薄い状態になっていることです。そのため、鉄分を摂取することで貧血を改善すれば、動悸の症状も治まるでしょう。

 

基本的な方法としては、鉄分が豊富な食材を積極的に日々の食事に取り入れることです。それでも貧血が治らないのであれば、病院で鉄剤の処方を受けることをおすすめします。貧血が改善されれば、動悸以外にもさまざまな症状の改善につながるでしょう。

 

リラックスして自律神経を整える

4つ目の方法は「リラックスすることで自律神経を整える」という方法です。

 

妊娠後期にストレスを溜めてしまうと、自律神経が乱れて動悸の原因になります。そのため、ストレスを発散し、リラックスすることで自律神経を整えることができれば、自然と動悸の症状も改善されるはずです。

 

リラックスする方法は人それぞれですが、興奮や交感神経の刺激になるような方法は避けてください。たとえばスマホやパソコンの長時間の使用は交感神経を優位にしやすいので注意してください。

 

 

まとめ

妊娠後期はさまざまな症状に悩まされる可能性があり、動悸の場合は原因によっては重症化して大きな問題に発展する可能性もあります。まずは病院で診てもらって原因を特定し、その原因に対して最適な対処法を教えてもらって実践してください。出産を控えている大事な時期なので、きちんと体をいたわって出産に備えてくださいね。

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  • この記事を書いた人

助産師ゆき

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8年間助産師として勤務し、様々な妊産褥婦さんと関わり勉強させていただきました。
その後2020年に第1子を出産し、今までの経験を総動員して育児をしてみたものの上手くいかないことが多々あり、育児の難しさを身に染みて感じました。でもそれ以上に子供は可愛く大変さも吹き飛ぶ日々。現在は育休から復職し、育児の経験を踏まえ、専門的な知識だけではなく、生活で役に立つ情報を伝えられたらいいなと思います。どうぞよろしくお願いします!
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