「抱っこ紐でおんぶしながら自転車に乗っても大丈夫?」「違反になるって聞いたけど本当?」
抱っこ紐は子育て中の必需品ですが、自転車との併用については、安全面や法律面で注意が必要です。
この記事では、抱っこ紐と自転車の併用に関する法律、起こりうる事故のリスク、そして安全な使い方について詳しく解説します。
大切な赤ちゃんを守るために、正しい知識を身につけて、安全な移動手段を選びましょう😊
目次
抱っこ紐で起きている実際の自転車事故は?
では、実際、抱っこ紐による自転車事故はどのくらい起きているのでしょうか。
2021年11月11日午前10時40分ごろ、世田谷区の交差点で自転車とトラックが衝突。抱っこ紐で抱かれた生後8カ月の乳児が死亡。現場は信号機のない丁字路交差点で、調べに対し、男は「自転車に気付かなかった」という。(2021年11月11日朝日新聞デジタルから引用;https://www.asahi.com/articles/ASPCC4DVRPCCUTIL00Z.html) |
2018年7月午前8時25分ごろ、横浜市で母親が自転車で転倒。抱っこ紐で次男を前に抱え、電動自転車の前部のいすに長男を乗せていた。自転車のハンドル周辺に下げていた傘の先が前輪に巻き込まれ、バランスを崩したもよう。(2018年7月6日1時31分朝日新聞デジタルから引用; https://www.asahi.com/articles/ASL7604XKL75ULOB01V.html) |
消費者庁によると、抱っこ運転での転倒事故は2010年~2018年、調査対象になっている全国約20の医療機関から56件の報告があり、このうち10件は重傷事故。
しかし、消費者庁はもっと多くの事故が起きている可能性があると発表しています。
違反していない?知っておきたい交通法!
普段何気なく乗っている自転車ですが、2015(平成27)年6月1日に道路交通法の一部を改正する法令が施行され、自転車の取り締まりが強化されました。
ご存じの通り、自転車は免許無しで誰でも乗れます。
さらに電動の自転車も同様、免許は不要です。
紛らわしいのですが、運転免許が必要なのは「原動機付自転車」、通称「原付」または「原付バイク」です。
あまり大きな声では言えませんが、自転車を運転のための講習も免許もないのですから交通ルールを知らなくても当然といえば当然なのです。
自転車は「軽車両」! 道路交通法が適用される
実は自転車は道路交通法では「軽車両」に分類されています。ですから、自転車には何だか関係ないように思われる標識かもしれませんが、従わないといけない規則になっているのです。原則として車道の左側を通ること、スマホ・傘さしなどの「ながら運転」の禁止・歩行者優先というように自動車と同じように多くのルールがあります。
ルールがあるということは、それを無視すれば立派な「道路交通法違反」となります。たがが自転車かもしれませんが、罰金や罰則も定められているので注意が必要です。
2020年6月30日に施行された改正道路交通法では自転車の「あおり運転」が危険行為として規定されました。
必要以上にベルを鳴らす、
不必要な急ブレーキをかける、
逆走する行為なども摘発の対象となります。
危険行為は全部で15項目 |
①信号無視 |
②遮断踏切立入り |
③指定場所一時不停止等 |
④歩道通行時の通行方法違反 |
⑤制動装置(ブレーキ)不良自転車運転 |
⑥酒酔い運転 |
⑦通行禁止違反 |
⑧交差点安全進行義務違反等 |
⑨歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反) |
⑩交差点優先車妨害 |
⑪通行区分違反 |
⑫環状交差点安全進行義務違反等 |
⑬路側帯通行時の歩行者の通行妨害 |
⑭安全運転義務違反 |
⑮妨害運転(交通の危険のおそれ・著しい交通の危険) |
たとえば「⑥酒酔い運転」は5年以下の懲役または100万円以下の罰金、「①信号無視」は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金になります。
上記危険行為を3年間に2回違反した14歳以上の者は公安委員会から「自転車運転者講習」を受講するよう命令されます。講習時間は3時間、講習手数料として6000円を支払わなければいけません(※手数料は各都道府県によって異なります)。これを無視すると、次は裁判所へ呼び出され5万円以下の罰金が科されます。
今現在も自転車の取り締まりは行われていますが、捕まってしまうと、当然「前科」持ちになります。略式の裁判が行われ、罰金を支払うだけでは済みません。手間のかかる手続きをすることになってしまうので注意が必要です。
自転車の死亡・重傷事故は2017年以降になって増加傾向にありますが、大多数が不起訴。しかし、2021年、警察庁の検討会が自転車などに関する中間報告書をまとめ、その中に反則金のことも盛り込んだので、これからはより厳しく取り締まりが行われるようになるかもしれません。
自転車に子供はどう乗せるの?
自転車は原則として運転者以外の人を乗せることはできません。また、道路交通法の第55条、第57条に基づき都道府県ごとに具体的なルールが決められているので、東京都の場合は上記のようになります。
以下の場合は2人乗り、3人乗りが認められています。
◎2人乗りのとき
運転者は16歳以上であること。幼児用座席のある自転車に小学校就学前の子供を1人乗車させることができます。おんぶすればさらに幼児1人を乗せることができます。抱っこは禁止です。
◎3人乗りのとき
運転者は16歳以上であること。
幼児2人が同乗できる自転車構造であること。幼児用座席のある自転車に小学校就学前の子供を2人乗車させることができます。抱っこは禁止です。4人乗りは禁止です。
さらに道路交通法の第63条では、子どもを自転車に乗せる場合には、保護者は乗車用ヘルメットをかぶらせることが義務づけられています。
詳しくはお住まいの都道府県の「道路交通規則」をチェックしてみてください。
知っておこう!自転車で抱っこ紐を使うときの5つの注意点
まず、赤ちゃんを抱っこ紐で前抱っこしたまま自転車に乗ることは法律違反です。
しかし、おんぶしていれば法律違反になりません。
では、なぜ前抱っこはNGで、背中におんぶはOKなのでしょうか。
普段は前抱っこのほうが赤ちゃんが何をしているのかすぐわかりますし、表情も見て取れるので安心することができます。
それに対し、背中だと見えないので何をしていてるのかもわかりません。
しかし、前抱っこしたまま自転車に乗ったときはどうでしょうか。
赤ちゃんとの間にすき間ができる
自転車を漕ぐためにはある程度のすき間がないと足が動かせないので、どうしてもすき間ができてしまいます。このすき間から赤ちゃんを落としてしまう危険性があります。
赤ちゃんで遮られて前がよく見えない
前に赤ちゃんがいるのでとうぜん遮られてしまい、前がよく見えなくなります。
バランスを崩しやすい
自転車に乗っているのに前に重い赤ちゃんを抱えているので、どうしてもバランスが取りにくくなります。するとほんの少しの段差で転倒してしまったりすることがあるので注意が必要です。
おんぶの場合は、背中に赤ちゃんが貼り付いている状態なので、抱っこに比べると危険性も軽減します。
では、自転車で抱っこ紐を使うとき、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
自転車で抱っこ紐を使って自転車に乗るときに気をつけたいポイントをチェックしましょう。
注意点その1:抱っこ紐は必ずおんぶの状態で使う
おんぶならだいじょうぶです。自転車に乗る場合は抱っこ紐を調節して、おんぶするようにして使いましょう。
ただ、普段、おんぶすることに慣れていないと、ママも赤ちゃんもフィット感がわからないもの。自転車に乗らなくてもときどき、おんぶにして感覚をつかんでおくことも大切です。
注意点その2:抱っこ紐から赤ちゃんが落ちないようにしっかり固定
自転車に乗る前は、抱っこ紐にゆるみがないかを確認するようにしましょう。なぜなら、せっかくおんぶして自転車に乗ったのにしっかりと赤ちゃんの体がホールドされていなければ、落ちてしまうことにもなりかねません。
さらに赤ちゃんの成長だけでなく、季節による衣服の厚さによっても紐の調整は変わってきます。面倒に思われるかもしれませんが、家にいる間もときどきおんぶをして紐調整を行っておくようにしたいものです。
また、自転車チャイルドシート(幼児用座席)に乗せる場合は、乗せる子供に合ったものを選ぶことが重要。ハンドルに取り付ける「前乗せ用」と、リアキャリアに取り付ける「後ろ乗せ用」の2タイプがあります。ただし、前乗せ用は1~4歳向けで体重15kg以下・身長100cm以下まで、後ろ乗せ用は身長115cm以下、チャイルドシートの重量と子供の体重を足して25~27kgまでが目安。
購入前に自転車チャイルドシートが子供に合っているかどうかを必ずチェックするようにしましょう。
注意点その3:「BAAマーク」「幼児2人同乗認証マーク」付きかをチェック
「BAAマーク」は自転車安全基準を、「幼児2人同乗認証マーク」は幼児を2人乗せられる安全基準をクリアしたものです。
「BAAマーク」は「自転車協会認証(Bicycle Association Approved)」の略で一般社団法人自転車協会が制定したもので自転車に貼付されるマークのこと。自転車のサドルの下の縦パイプに貼られていて、主に国内メーカーを中心に付けられています。
一方、「幼児2人同乗認証マーク」は強度、制動性能、駐輪時の安定性、フレーム等の剛性、走行中の振動防止、発進時の安定性など、幼児を2人乗せても安全に走行できるものです。
これから自転車を買う方は、「BAAマーク」「幼児2人同乗認証マーク」付きのものがおすすめです。
注意点その4:子供を乗せているので無理な運転は控えよう
慣れは恐ろしいものです。子供と一緒なのにひとりで乗っているときと同じように、つい無理な運転をしてしまうことがあります。
大切な子供の命を乗せていることを絶対に忘れないことが大切です。やることが多いので急いでしまう気持ちはわかりますが、ちょっとくらい遅れても命は取られません。
焦れば焦るほどロクなことはないのです。雨の日もあれば雪が降る日もあるので、路面状態が悪い、狭い道もいっぱいあります。無理せず、ゆっくりが基本。
何よりも、子供の安全を考えましょう。
注意点その5:1歳近くになったらヘルメットを用意
子供が1歳近くになれば、チャイルドシートに乗せられるようになります。
チャイルドシートはヘルメットが必要になります。道路交通法で「13歳未満の子供にはヘルメットを着用させるよう努めなければならない」とされているため。子供の頭サイズにぴったりフィットしていることが必須ですから、実際にかぶってみるのがいいでしょう。
また、慣れないうちは重く、視界を遮られてしまう恐れのあるヘルメットを被るのを嫌がる子供も多いもの。そんなときは「おまわりさんに捕まっちゃうよ」とこれも交通ルールと教えてあげることで納得させましょう。
ヘルメットを選ぶときは「SGマーク」の付いているものがおすすめ。また、様々なデザインのタイプが販売されているので子供が好むものを選ぶようにするのも手です。
まとめ
日頃使っている抱っこ紐では、前抱っこしての自転車運転ができないことをご存知でしたか?
抱っこ紐と自転車の併用は、法律や安全面で注意が必要な行為です。
前抱っこは法律違反であり、おんぶであっても事故のリスクはゼロではありません。
自転車に乗る際は、チャイルドシートの利用やヘルメットの着用など、安全対策を徹底することが重要です。
また、交通ルールを遵守し、安全運転を心がけることも大切です。