妊娠中について 産後のママの悩み

妊娠後や産後の骨粗鬆症とは?原因と予防方法を解説

2021年5月21日

妊娠後の骨粗鬆症に注意

骨粗鬆症とは骨の量が減って弱くなり、些細なことで骨折したり骨にひびが入ったりする症状のことをいいます。骨粗鬆症と聞いて、ご高齢の方をイメージされる方も多いと思うのですが、実は妊娠後~産後にかけてもなりやすい病気です。なぜ妊娠したら骨粗鬆症になりやすいのか、またその対策、食事の改善などについてもお話していきます。

妊娠後(産後)骨粗鬆症とは

骨粗鬆症の骨断面図

産後の骨粗鬆症は、妊娠してから産後にかけて、骨の量が少なくったり、弱くなったりして、簡単に骨にひびが入ったり骨折したりする病気のことをいいます。骨粗鬆になると、怪我をしやすいだけでなく、骨折した部位によっては、歩くことが困難になったり、赤ちゃんを抱っこすることができなかったりと、色々な困難にぶつかります。重症化しないためにも、対策や治療が必要です。

骨粗鬆症になる原因

骨粗鬆症の原因

一般的に、ご高齢の方に骨粗鬆症が多い要因として、閉経して骨形成を助けるエストロゲンという女性ホルモンが少なくなることによって、骨が少なくなったり、弱くなったりして骨粗鬆症になってしまいます。では妊娠してから、出産後にかけて骨粗鬆症になりやすいのはなぜでしょうか。

妊娠中の赤ちゃんの骨形成のため

妊娠中赤ちゃんの骨を作るためにカルシウムが必要になってきます。お母さんが食事からカルシウムを摂取して、カルシウムがお腹のなかの赤ちゃんに届きますが、その不足分はおかあさんの身体の骨からカルシウムが溶け出してしまうのです。カルシウムの不足が続くと、おかあさんの骨もどんどん少なく弱くなってしまうことが骨粗鬆症の原因のひとつです。

 

産後の授乳で赤ちゃんに栄養を送るため

出産後、母乳育児をするママは母乳を通して、赤ちゃんにカルシウムはもちろん、必要な栄養素を与えるようになります。妊娠中の胎児より、新生児の方が多くのカルシウムを必要としているため、母乳には多くのカルシウムが供給されることになり、それに伴って、お母さんの骨からカルシウムが溶け出してしまいます

 

女性ホルモンバランスの変化

出産後、女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」は、産後や授乳中に大きく減少します。エストロゲンには、骨にカルシウムを蓄える働きをするため、エストロゲンの分泌量が低下すると、骨密度の低下に繋がり、骨粗鬆症のリスクが上昇するというわけです

 

上記の状態は妊娠してから授乳後まで続きます。授乳後、少しずつもとに戻っていくとされていますが、すぐに骨量が増えるわけではないので、なるべく予防していきたいですね。

予防と対策をしよう

妊娠後から産後にかけて骨粗鬆症にならないようにするためにも、予防や対策を行っていきましょう!妊娠してから、骨量が下がってきてから予防するのではありません。妊娠する前から日々の生活習慣を意識しながら強い骨をつくっていきましょう。予防策について紹介していきます。

自分の骨量を知る

骨量検査

通常妊婦検診で、骨密度を測る機会があるので、骨密度測定を受けてご自身の骨量をある程度知っておきましょう。簡易的なものから、病院でより詳しく検査してくれるものまでいろいろあります。もっと欲を言えば、妊娠前に検査することで、あまりにも少ない場合は、早くから食生活改善をすることで、骨粗鬆症の予防することができるので一度骨密度測定することをおすすめします。

骨密度測定器を用意している産婦人科医院は多くありますので、かかりつけのお医者さんや近くの医療機関をチェックしてみてくださいね。

カルシウムを十分にとる

カルシウムを多く含む食材

お腹の中の赤ちゃん、おかあさんの二人分のカルシウムが必要で、妊娠中の1日あたりのカルシウムの推奨摂取量は1,000 mgとされています。牛乳やチーズなどの乳製品、小魚やモロヘイヤ、ひじきなどの海藻などたくさんのカルシウムが含まれている食材を積極的に摂っていきましょう。副菜や汁物にもうまくカルシウムの入った食材を使用しながら取り入れてみてくださいね。

(参考)食品別カルシウム含有量一覧

食材1回に食べる目安量カルシウム含有量(mg)
牛乳210g 1カップ230
スキムミルク20g 大さじ3強220
干しエビ3g 大さじ1/2215
シシャモ50g 2尾165
生揚げ60g 1/3枚145
小松菜80g 1/3束140
アイスクリーム100g140
イワシ30g 1尾130
チーズ20g130
木綿豆腐150g 1/2丁130
ヨーグルト100g 1/2カップ120
凍り豆腐15g 1枚95
シラス干し15g 大さじ380
チンゲン菜80g 1株80
切り干し大根15g 1/3袋75
乾燥ひじき6g 大さじ260
納豆50g 1パック45
干しワカメ50g 17尾40

 

ビタミンD、ビタミンKを摂る

骨粗鬆症の予防にはビタミンD、ビタミンKの摂取も効果的です。

摂りすぎはよくありませんが、バランスよく食事をするようにしましょう。ビタミンDは日光に当たることで働くために、一日少しの時間でも日光を浴びて気持ち良く過ごしましょう。

ビタミンDを多く含む食材

ビタミンDを含む食材鮭、さんま、キノコ類、鶏卵、レバーなど

(参考)食品別ビタミンD含有量一覧

食材1回に食べる目安量ビタミンD含有量(μg)
サケ80g 1切れ25
イワシ丸干し30g 1尾15
サンマ100g 1尾15
カレイ100g 1尾13
シラス干し10g 大さじ26
ブリ80g 1切れ6
きくらげ(乾燥)2g 2枚2
干しシイタケ6g 2個1

ビタミンKを含む食材

ビタミンKを含む食材納豆、小松菜、わかめ、海苔、ブロッコリーなど

(参考)食品別ビタミンK含有量一覧

食材1回に食べる目安量ビタミンK含有量(μg)
モロヘイヤ60g 1/4束400
納豆50g 1パック300
小松菜95g 1/4束200
ほうれん草60g 1/4束160
ブロッコリー60g 1/4束100
ニラ30g 1/4束55
キャベツ50g 1枚40
鶏もも肉120g 1/2枚35
干しワカメ5g35

 

運動を取り入れる

妊婦運動

骨粗鬆症の原因として運動不足も考えられます。ほどよく筋肉をつけることは、骨を強くしたり、骨量を維持したりする効果があります。日常から歩く習慣をつけたり、軽い筋トレをしたりして運動することは脳に刺激を与えて骨量の低下を防ぐことも示唆されるといわれています。妊娠してからは過度な運動はできませんが、体調の良い時に軽いウォーキングやストレッチなどをするといいですよ。妊娠から出産後にかけては無理しないでくださいね。

こんな時は病院へ

ご自身のケアで治らない、痛みがひどい、長引く場合には早めに医師に相談、受診するようにしましょう。重症化してしまうと、圧迫骨折をしたり、歩いたり寝返りをうつだけでひどい痛みを感じたりして日常生活にも支障をきたす恐れがあります。早めに対処、治療して、一日でも楽しい日常生活、育児生活を送ってくださいね。

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  • この記事を書いた人

助産師ゆき

看護師免許
助産師免許
保健師免許

8年間助産師として勤務し、様々な妊産褥婦さんと関わり勉強させていただきました。
その後2020年に第1子を出産し、今までの経験を総動員して育児をしてみたものの上手くいかないことが多々あり、育児の難しさを身に染みて感じました。でもそれ以上に子供は可愛く大変さも吹き飛ぶ日々。現在は育休から復職し、育児の経験を踏まえ、専門的な知識だけではなく、生活で役に立つ情報を伝えられたらいいなと思います。どうぞよろしくお願いします!
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