育児・赤ちゃんについて

【産婦人科医監修】ビタミンK2シロップとは?|新生児の出血症予防投与について

2021年2月25日

  • 記事の監修者

丸尾 伸之 先生

レディーバードクリニック 院長

平成13年 大分医科大学卒業、神戸大学医学部附属病院で産婦人科勤務
平成20年 神戸大学大学院で医学博士取得、神戸赤十字病院で勤務
平成27年 淀川キリスト教病院 産婦人科部長
令和4年 大阪西天満でレディーバードクリニックを開業
監修者情報

ケイツーシロップとは

「ビタミンK2シロップ」ってどんなもの?飲ませ方は?

赤ちゃんを出産したママ・パパなら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。

ビタミンK2シロップは、赤ちゃんの健康を守るために欠かせないもの。

この記事では、ビタミンK2シロップの役割や、飲ませ方、注意点などを分かりやすく解説します。

安心して赤ちゃんを育てるために、ぜひ参考にしてください。

ビタミンK2シロップとは?

ビタミンK2シロップとは赤ちゃんにビタミンKの栄養素を補充する役割をもっています。赤ちゃんはビタミンKが不足しやすいため、こちらから栄養素を補給してあげることが必要になります。
ビタミンKは出血を止めるのに必要な成分で、不足してしまうと、乳児ビタミンK欠乏性出血症を引き起こしてしまうことがあります。

ビタミンKとは?ビタミンKの役割など

ビタミンKは血液を凝固させる働きをする脂溶性(油脂に溶ける)ビタミンです。私たちの体では、緑葉野菜などの食品から接種するビタミンKと体内の腸内細菌や組織で作られたビタミンKの両方を利用しています。

また、骨にあるタンパク質を活性化し、骨の形成を促します。コラーゲン生成を促進し、骨質を改善させる働きもするため、骨粗しょう症治療薬にも活用されています。

乳児ビタミンK欠乏性出血症とは?

乳児ビタミンK欠乏性出血症とは、赤ちゃんの体内のビタミンが不足することによって起こる病気です。

乳児ビタミンK欠乏性出血症の症状として、皮膚や消化管からの出血や、吐血、血が止まらない、血便になったり、発症する時期によっては脳に異常が出たりすることもあります。早期の治療、またビタミンKが不足しないように予防することが大切です。

ビタミンK2シロップは予防のためだけでなく、万が一、発症したときにも飲むことがあります。

自分でビタミンKをつくることができない

赤ちゃんはまだ腸内細菌の働きが未熟で、自分でビタミンKの栄養素をつくり出すことができません。

また、お母さんの個人差もありますが母乳にビタミンKがほとんど含まれていないことから、ビタミンK2シロップを飲ませることが大切です。

お母さんが積極的にほうれん草、ブロッコリー、納豆などの食べ物からビタミンKを摂取することで、母乳に含まれるビタミンKが増えることもあるといわれていますが、十分ではありません。
完全な母乳育児の赤ちゃんは、通常より少し長くビタミンK2シロップを飲むことになるでしょう。次の薬の飲み方でお話ししていきます。

ビタミンK2シロップの飲ませ方

ビタミンK2シロップは産院によって回数が少し異なるかもしれませんが、3回に分けて飲むことが多いです。

●出産後、数回授乳した後
●退院時または生後1週間のいずれか(早いほう)
●1ヶ月健診のとき

母乳哺育の場合はその後も生後3か月まで頃まで週1回投与する場合があります。かかりつけ医の先生の判断に従うようにしてくださいね。

赤ちゃんへの飲ませ方

赤ちゃんにK2シロップを飲ませるときには、こぼれないように注意しながら、飲みやすい方法を探ってみてくださいね。

・スプーンで直接飲ませる
・哺乳瓶でミルクや白湯に溶かして飲ませる
・哺乳瓶の乳首だけをくわえさせて、こぼれないようK2シロップを流し入れる

また参考にしてみてください。

こんなときはどうする?

K2シロップをこぼした・飲み残したとき

すべて飲みきることができなかったときには、少し時間をあけたり、様子を見ながら残りの分を飲ませてみてあげましょう。もしこぼしてしまった場合は、次回分のシロップを使用し、早めに病院で次回分をもらうようにしておきましょう。

むせたり、吐いたりしているとき

むせているときには、一度優しく背中をさすって落ち着くのを待ちましょう。飲む姿勢もしんどくなっていないか見てあげてくださいね。
もしも吐いてしまったときには、赤ちゃんの状態を見ながら時間をおいて飲めそうであればゆっくりと飲ませましょう。

全部、吐き戻したときには一度受診することをおすすめします。

予定日に飲ませられなかった(飲み忘れ)

飲ませるのを忘れたり、赤ちゃんの様子によってはK2シロップを予定日に飲ませられなかったりすることもあるかもしれません。数日でしたら、ずれてしまっても大丈夫ですが、あまりにも日にちが経ってしまった場合は医師に相談しましょう。忘れないように注意してくださいね。

さいごに

赤ちゃんはビタミンKが不足しやすいために、ビタミンK2シロップを飲むことが必要です。

飲む量や回数は赤ちゃんや産院によって少々変わってくることもありますが、ご自身で判断せずに、かかりつけ医の先生のお話を聞いて進めるようにしてくださいね。
赤ちゃんが健康に過ごせるよう、見守っていきたいですね。

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  • この記事を書いた人

助産師ゆき

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保健師免許

8年間助産師として勤務し、様々な妊産褥婦さんと関わり勉強させていただきました。
その後2020年に第1子を出産し、今までの経験を総動員して育児をしてみたものの上手くいかないことが多々あり、育児の難しさを身に染みて感じました。でもそれ以上に子供は可愛く大変さも吹き飛ぶ日々。現在は育休から復職し、育児の経験を踏まえ、専門的な知識だけではなく、生活で役に立つ情報を伝えられたらいいなと思います。どうぞよろしくお願いします!
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