抱っこ紐はマルチに使える必需品です。さらにおんぶまでできたら、両手が空くので家事や買い物がしやすく便利に使えます。
最近は多くの抱っこ紐がおんぶに対応していますが、
「そもそもいつからおんぶはしていいの?」
「ひとりでおんぶなんてできるの?」
と悩む人も多いと思います。
実際、抱っこ紐でのおんぶはいつからならできるのでしょうか。さらにそのやり方は?
今回は抱っこ紐でのおんぶの悩みについてご紹介します。
おんぶができる時期、抱っこ紐でおんぶする3つのメリット、デメリット、おんぶができる抱っこ紐、おんぶのやり方のほか、抱っこ紐でのおんぶの注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
抱っこ紐でおんぶしたい!おんぶはいつから?
両手が空くので家事や買い物がしやすく、抱っこに比べて長時間背負っても体が疲れにくいのがおんぶです。
おんぶで家事効率をグーンとアップしたい!
抱っこよりおんぶのほうがラクそう!
実際、対面抱っこを長時間しているとどうしても腰や肩が辛くなってくるもの。
抱っこしているとなかなか進まない家事も両手を空けることでいろんなことができるようになります。
重たいリュックを背中に背負う方がラクなのと同様、おんぶは抱っこよりもはるかに体への負担が少なくなります。産後は何かと忙しく、さらに睡眠不足に陥る人がほとんどです。少しでもラクになれるようにしたいものです。
ただ、生まれたての赤ちゃんは体も小さく柔らかいので触るのさえ一苦労。そんな赤ちゃんのおんぶはいつからできるのでしょうか。
抱っこ紐でおんぶはいつからできる?
生まれたての赤ちゃんは頭が大きく、首の筋肉は未発達のため首がグラグラしています。抱っこであれば、横抱きや首を支えることで縦抱きもできますが、おんぶをするのはたいへん危険です。
もし、この状態でおんぶをしてしまうと首がグラグラしていますから、赤ちゃんの体に負担をかける可能性があります。最悪、何かの拍子に首が倒れて骨が折れてしまうことにもなりかねません。
ですから、おんぶを始める時期は「首がすわった頃」。このグラグラがなくなれば、おんぶができるようになります。
おんぶは首がすわってから
「首がすわる」とよく聞きますが、これはどんな状態のことなのでしょうか。
漢字で書くと「座る」ではなく「据わる」になります。「据わる」は「安定するという意味」です。
生まれたての赤ちゃんは首に力が入りません。筋肉が未発達の状態で生まれてきているためです。そのため、首がグラグラしています。
首は脳がある頭部を支える重要な部分です。しかも命に関わる重要な部位。非常にデリケートな部分ですから、首に問題が起きると、体の様々な部分に問題が生じてくることになりかねません。
首すわりは生後3~5ヶ月頃に始まります。早ければ生後2~3カ月、一般的にはおよそ3~4カ月といわれています。
赤ちゃんの体の筋肉は上部から発達してくるため、1ヶ月頃から首周りの筋肉が発達し始めます。筋肉や背筋や靭帯(じんたい)、また、それらをコントロールする神経も同様に発達してきます。
首の筋肉が発達すれば、ようやく自分の力だけで首を動かせるようになります。これが「首がすわる」状態。
首がすわれば、おんぶができるようになります。
首が完全にすわるのは生後4カ月頃から
首がしっかりすわるのは生後4カ月頃からで、5カ月ほど経てば9割ほどの赤ちゃんが首がすわるようになります。
頭を支えなくても首がグラグラしなくなり、徐々に安定して頭を動かせるようになってきます。
首すわりの見極め方はある?
首が完全にすわる時期は赤ちゃんによってさまざま。母子健康手帳にも首がすわる目安は3~4カ月頃と書いてあります。
まず、生後2カ月頃になるとうつぶせにするとあごを持ち上げられるようになってきます。
4カ月頃にはおよそ9割ができるようになるといわれていますが、首すわりが遅いと心配になるかもしれません。パパママにとって発達が順調かどうかはとても気になるもの。
3~4カ月頃と書かれてあるのにできていないと、普通ではないと心配になります。
ただ、赤ちゃんの発育・発達には個人差があり、目安はあくまでも目安。普通より遅れているのは問題ではなく、少しでも発達していれば順調です。気になることは健康診査ですべてチェックしてもらえるので、毎回受けるようにしましょう。
首すわりって具体的にどんな状態?
では、赤ちゃんの首がすわっているかどうかを確認するにはどうしたらいいのでしょうか。
判断基準は以下の3つ。すべてクリアしていたら、赤ちゃんの首がすわったと判断できます。
1.うつ伏せにしたときに自分で頭を持ち上げることができる
2.縦抱きをしたときに、パパママが首を支えなくても頭をまっすぐに保つことができる
3.仰向けに寝かせてから両手を持って引き起こすと首がついてくる
3カ月検診の時にチェックしてもらえますが、首すわりの判断がつかないときは医師や看護師さんなどの専門家に見てもらうようにしましょう。
首がすわっても油断しないこと
赤ちゃんの首がすわると、おんぶができるようになりますが油断は禁物です。
首がすわったということは筋肉がついてきたというだけで、1カ月くらいは様子を見る必要があります。赤ちゃんはゆっくり、時間をかけて少しずつ発達していくからです。
首がすわったからもうだいじょうぶとおんぶをしたら、首がガクッとなって驚いたということもあるので、すわったばかりの頃は注意が必要です。
抱っこ紐でおんぶする3つのメリット
抱っこ紐を使っておんぶができるようになると、ママにとっても家事がしやすくなって便利です。
ここからは抱っこ紐でおんぶする3つのメリットについて見ていきましょう。
抱っこ紐でおんぶするメリット 1
最大のメリットは両手が空いて家事がしやすくなる点です。
抱っこの場合だと、空いても片手だけですから、これではスムーズに行うことができません。
しかし、おんぶすることで掃除や料理といったやらなければいけない家事が、赤ちゃんを背負ったままできるようになります。
さらに、赤ちゃんは後ろですから火を使うときも安心ですし、自転車でさっと足りなかった買い物にも行けるので便利です。
抱っこ紐でおんぶするメリット 2
おんぶは赤ちゃんにもメリットがあります。
おんぶすることでママと同じ目線の高さになり、赤ちゃんの視界が広がります。目から入る情報が増えれば脳に刺激が与えられるため、脳にいいといわれています。実は人間は外部から得る情報のうち、およそ8割を視覚から得ています。
赤ちゃんは今までは低い位置からしか見えなかったものが、見えてきて新しい景色を知ることができるようになります。これは赤ちゃんにとってもいつもとは違うものが見えるので楽しい時間へと早変わり。知的好奇心を育むことができます。
視界が広がることが脳への刺激となるというわけです。
抱っこ紐でおんぶするメリット 3
おんぶはママの背中にピタッとついているため、心地よいスキンシップになります。
子育ての基本はスキンシップです。
肌が触れあうと「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンという脳内物質が出てきて心に安らぎを与え、気持ちを前向きにしてくれるもの。出産や子育ての際に分泌される物質として有名で、赤ちゃんとスキンシップを取ることで増え、ママにも良い影響がもたらされます。
「抱きグセがつく」と心配するママもいますが、赤ちゃんがスキンシップを求めるのは自然な欲求で健全に育っている証拠でもあります。
スキンシップを求めているのに応えてあげないと心に空白が残り、かえっていつまでもママにまとわりつく、攻撃的で衝動性が強いといった傾向がみられるといわれています。
スキンシップは生後1年以内がもっとも効果的なので、十分なスキンシップを心がけましょう。
抱っこ紐でおんぶする3つのデメリット
おんぶにはメリットがたくさんあるけど、実はデメリットもあります。
赤ちゃんをおんぶするときはくれぐれも気を付けて行うようにしましょう。
抱っこ紐でおんぶするデメリット 1
おんぶの最大のデメリットは、赤ちゃんは後ろ側ですから様子を確認することができません。
抱っこであれば目前にいる赤ちゃんの表情はすぐにチェックできますが、おんぶの場合は後ろなので表情をすぐにチェックすることができません。
狭い通路や人混みで押される、赤ちゃん勝手に触られても気付かないというデメリットが考えられます。ですから狭い通路や人混み、周囲に尖ったものなどがある場でのおんぶは止めておきましょう。
抱っこ紐でおんぶするデメリット 2
紐が緩かったり、上げ下ろししたりするときに赤ちゃんが落下してしまう悲しい事故が起きていますので注意しましょう。
東京都「抱っこひも等に関する国内事故事例の分析」によると(https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/kyougikai/h26/documents/documents/06_26_1_jikobunnseki.pdf)以下のような報告がされています。(平成21年から25年まで、ほか、6件は省略)
平成21年 スーパーマーケットで買い物中、おんぶひもが切れて転落
平成22年 おんぶひもを解き子供を下ろそうとしたところ、手がすべり子供を床面に墜落させてしまった
平成22年 1か月の男児を約1mの高さから、父親が抱っこひもから落とした
平成23年 祖母が、抱っこひもで孫を抱いていたが、抱っこひもの隙間から孫がフローリングの床に滑り落ち、
平成23年 母親が抱っこひもでおんぶした状態でマンションバルコニーで洗濯物を干していた際、10か月の女児は這い出てしまい誤ってバルコニー地面に落下し頭部を受傷
●出典「東京消防庁救急搬送事例」より
上記の事故のように抱っこ紐に赤ちゃんを乗せる時、かがんだ時、歩行中などに起きています。ですから、立ったままの高い位置で抱っこ紐を解いてはいけません。
必ず床に近い高さで行う、安全ベルトをしっかり装着するなど赤ちゃんの安全を確保しておくべきです。
抱っこ紐でおんぶするデメリット3
日々スクスクと育ってくれるのは嬉しいものですが、生後半年ほどで体重10キロほどになります。決して軽くはないので、体重が肩・背中・腰にかかり、肩こりや腰痛などを引き起してしまうこともあります。
大人の体の負担になるので痛みを感じたら、我慢しないこと。抱っこやベビーカーなどに切り替える、パパに代わってもらうなど体をいたわることが大事です。
おんぶができる抱っこ紐を選ぼう
抱っこ紐には「おんぶ兼用タイプ」があります。
「おんぶ専用タイプ」はその名の通り、おんぶだけしかできません。
購入時期や使用用途によって、使いやすさが大きく変わってくるので特長をしっかりと把握した上で選ぶことが重要です。
おんぶ・抱っこ兼用タイプ
抱っこだけでなくおんぶもできる多機能タイプです。特徴は新生児期から長く使用できること。
成長やシーンに合わせて、抱っことおんぶを使い分けることができますし、前向き抱きができる3wayタイプや、横抱きも可能な4wayタイプも販売されています。その分、おんぶ専用紐よりも価格は高くなります。
おんぶ専用タイプ
おんぶ専用タイプは目安として生後4ヶ月程度から36ヶ月頃まで使用できるものです。おんぶ用に特化して作られているためラクにおんぶができるのが特徴です。
着脱が簡単、紐の微調節がしやすく、さっと着脱が可能。
また、おんぶすることで胸が協調されるのがイヤという人にはリュック結びができるタイプもあります。
抱っこ紐でのおんぶのやり方
おんぶもできる抱っこ紐でどうやったら安全におんぶをすることができるのでしょうか。
やってみたいけど
「おんぶって難しそう」
「危なそう」
とためらうママも多いはず。
おんぶに慣れるためにはやはり何度も練習を重ねることが必要です。慣れるまでは家族のサポートをしてもらうのがおすすめです。
赤ちゃんをずらすやり方
赤ちゃんをずらしながら縦抱き→腰抱き→背中へおんぶと移動させていく方法です。
しかし、赤ちゃんを一度も背中に乗せたことがない人はビビってしまうかもしれません。しかも背中という後ろ側に乗せるのですから、これは初めてだと難しいとしか言い様がありません。
抱っこ紐で背負うやり方
抱っこ紐を床に敷き、その上に赤ちゃんを寝かせます。赤ちゃんの上にママの体を軽く乗せてから起き上がっていきます。
ただし、上に置き過ぎると、起き上がった際に、頭から落ちてしまうこともあるので注意が必要です。
抱っこ紐でのおんぶの注意点は3つ
おんぶするときの注意点は3つです。赤ちゃんが落ちてケガなどしないよう細心の注意が必要です。
(1)赤ちゃんの首がすわってから
首すわりは3~4ヶ月健診でチェックされる項目です。
おんぶするには赤ちゃんの首がすわってからが基本。
首がグラグラするうちはおんぶはNGです。
(2)抱っこ紐の締め付けすぎはダメ
赤ちゃんの脚は開きすぎない、閉じすぎないことが重要。締め付けすぎると股関節脱臼の原因になることがあります。イメージは和式トイレに座るようにM字の形を脚で作るようにします。
(3)赤ちゃんの様子を定期的にチェックすること
おんぶすると赤ちゃんは背中にいるため、赤ちゃんの様子や安全を確かめることもできません。
そのため、定期的に鏡などを利用して赤ちゃんの様子をチェックしましょう。
まとめ
抱っこ紐でおんぶすることで赤ちゃんと共に家事や用事ができるようになります。
赤ちゃんと過ごす毎日は長いと感じることもあるでしょうし、逆に忙しくてあっという間という人もいるでしょう。
昔はおんぶで赤ちゃんを育ててきました。ぜひ、抱っこ紐を使ったおんぶの良さを活かした子育てを始めてみてください。