妊娠後期になると、ホルモンの変化を原因としてさまざまな症状が出るようになり、その1つに「ホットフラッシュ」が挙げられます。
- ・ホットフラッシュとは?
- ・妊娠後期にホットフラッシュになる原因
- ・適切な対処法について
- ・妊娠後期のほてり・のぼせで注意したい疾患
解説します。ホットフラッシュの症状に悩まされているママさん、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。
目次
ホットフラッシュとは?
「ホットフラッシュ」とは、一般的に更年期障害の症状の1つとして現れるものであり、
いわゆる「ほてり」や「のぼせ」と呼ばれる症状です。
身体が急に暑いと感じてしまい、ほてりやのぼせ、大量の発汗などを引き起こします。
妊娠後期とホットフラッシュの関係
妊娠後期に、女性ホルモンの分泌量は変化し、大きく増加しているタイミングです。
妊娠中には、更年期障害のホットフラッシュのような「急なほてり」ではなく、どちらかといえば「日常的に暑さを感じる」という症状に悩まされるママさんが多くみられます。
ここからは、その症状の原因と、適切な対処法について解説します。
妊娠後期のほてり・のぼせの原因
妊娠後期にほてりやのぼせといった症状が発生する原因は、以下の4つの原因のどれかに当てはまることがほとんどです。
妊娠による高温期
妊娠前の女性は「月経」の影響により、体温に関して低温期と高温期を繰り返しています。
生理が始まってから排卵までを低温期といい、排卵から生理開始までを高温期といいます。妊娠が成立した場合、この高温期がしばらく続くことになるので、妊娠中は基本的に体温が高くなりやすいのです。
普通だと風邪気味かな?と思うような37度後半の体温であっても、これが理由である可能性が高いので心配しなくても大丈夫でしょう😌
ただし、これを原因として体温が上昇しやすいのは「妊娠初期」であるため、妊娠後期だとこの原因でほてり・のぼせの症状が出やすいとはいえません。
女性ホルモンによる体温の上昇
女性は妊娠すると、赤ちゃんを守るために子宮内膜を変化させるホルモン(プロゲステロン)が活発に働きます。
このホルモンはママさんの体温を上昇させる作用もあるため、日常的にほてりやのぼせの症状が出やすくなるのです。
さらに、このホルモンはママさんの体の中に水分を蓄える作用もあるので、妊婦さんは妊娠前よりも喉が乾きやすくなり、これにより暑さを感じている可能性もあります。
いずれにしてもホルモンが正常に働いているため、よほど過剰に体温が上昇していない限りは問題ないでしょう💪
皮下脂肪が増えること
女性は妊娠すると、胎児を守る目的や出産に向けてかなりのエネルギーを蓄えるために、ママさんの身体には「皮下脂肪」が増えます。
ママさんの身体には皮下脂肪が増えて体重も増加することによってエネルギーをたくさん使うことになり、同時に熱も多く作られるようになるのです。
皮下脂肪には体温を維持する働きもあるため、ママさんは身体に熱を溜め込むことにより暑さを感じます。
皮下脂肪の増加による体重増加は問題ないのですが、過剰に体重が増えすぎることも少なすぎることも問題なので、定期健診で注意された場合には無理のない範囲でコントロールしてくださいね☺️
妊娠期の乳腺の発達
女性は妊娠すると、産後の授乳に向けて「乳腺」の発達が活発になります。
そのため、ママさんは胸元から首のあたりにかけて通常よりも血流が良くなり、日常的に暑く感じることがあります。
血流が改善される部分が頭部に近いため、体調によっては顔に汗をかくことも😰
妊娠後期のほてり・のぼせの対処法
妊娠後期の症状は不快なものですが、ほてり・のぼせの症状はとくに「暑い夏」にはきついですよね…。
そこで、夏場に妊娠後期のほてり・のぼせの症状が出た際に、これを乗り切る方法について解説します。
エアコンを利用する
夏の暑さ対策の定番はもちろんエアコンですよね。
無理して暑い空間で過ごすと、脱水症状や熱中症になる可能性があり、とても危険です。
エアコンは、冷えすぎないように調整して体に負担をかけずに快適に過ごしましょう。(26~28℃が理想!)
寝具を改善する
夏場は、寝苦しい夜にも注意が必要です。
寝具は最近流行のひんやりするタイプのパッドや、枕カバーなどを使用するのもおすすめ♪
天然素材の寝具はさらりとした肌触りで自然に汗を吸収してくれるので、ママさんが快適な睡眠を獲得するのにおすすめです。
寝ている間もエアコンを利用することは悪いことではありませんので、28℃前後でつけたまま寝るのもいいですね!(同時に加湿も忘れずに✨)
ハンディファンやネッククーラー
最近流行りの、持ち運びのファン(扇風機)や、首に巻ける保冷剤など便利グッズがたくさん!!
外に出る際には、どんどん活用してもいいでしょう😊
最近は、夏に外を歩いていると、皆扇風機持っていますね!(笑)
栄養摂取と水分補給
妊娠中のママさんに重要な栄養素は、血液やエネルギーの元になる栄養である「タンパク質」です。
妊娠後期の血流量増加による貧血予防にも効果的であり、暑い夏を乗り切るためにも肉や魚などタンパク質の多い食事を積極的に摂りましょう。
また、ママさんは季節に関係なく「水分補給」が暑さ対策にも重要なことになります。
汗をよくかいてしまう夏は、意識して水分を摂取するようにしてくださいね。目安としては、1日1.5Lから2Lをベースに、少しずつこまめに水分を補給するのがよいでしょう。
水分補給も暑いからといって、冷たい飲み物ばかりは禁物⚠️
体を冷やしすぎないことも大切です。
妊娠後期のほてり・のぼせで注意したい疾患
妊娠後期のほてりやのぼせは、多くの場合は日常的な対策で乗り切ることができるでしょう。
しかし、下記のような疾患を引き起こす原因にもなるので十分注意が必要です。
熱中症
妊娠中は「熱中症」にかかりやすいので注意が必要です。
ママさんは体調の変化により日常的に体温が高い状態になっているため、通常よりもなかなか熱中症に気が付きにくい状態になっています。
初期症状としては立ちくらみや筋肉の痛みなど、妊娠中のマイナートラブルと区別がつかない症状でが多いです。
次第に頭痛や吐き気、だるさの症状があって、さらに症状が進行してしまうと酸欠で倒れてしまうことも珍しくありません。
夏場はこれらの症状を妊娠中のマイナートラブルであると軽く考えないようにして、少しでも「なにか変だな?」と思ったら日陰で休んだり塩分・水分を摂取するなどして、早期に対策をとりましょう。
腎盂腎炎
腎盂腎炎は、妊娠中の女性によくみられる病気であり、子宮が大きくなることで尿管などが圧迫されて尿の流れが悪くなってしまい、腎臓が炎症を起こしてしまう病気です。
発熱だけでなく腰の痛みや排尿痛、吐き気などの症状も出ることがありますので、このような症状がある場合はすぐにかかりつけの産婦人科を受診してくださいね。
妊娠高血圧症候群
この症状はママさんの健康だけでなく、お腹の中の赤ちゃんにも少なからず影響する可能性がありますので、十分に注意する必要があるのです。
「妊娠高血圧症候群」とは、妊娠中に発症する高血圧のことです。
(この症状は、ママさん約20人につき1人の割合で起こります。)
早発型と呼ばれる、妊娠34週未満で発症した場合は重症化しやすいため注意が必要です。
妊娠高血圧症候群が重症になると、ママさんには血圧上昇や蛋白尿に加えて、けいれん発作(子癇)や脳出血、肝臓や腎臓の機能障害などを引き起こす可能性があります。
また、お腹の中の赤ちゃんの発育が悪くなったり(胎児発育不全)胎盤が子宮からはがれて赤ちゃんに酸素が届かなくなったり(常位胎盤早期剥離)、赤ちゃんの状態が悪くなって(胎児機能不全)最悪の場合には赤ちゃんが亡くなってしまう(胎児死亡)可能性もゼロではありません。
このように、妊娠高血圧症候群ではママさんさんと赤ちゃん共に非常に危険な状態に陥ることがありますので注意が必要です。
まとめ
妊娠後期にホットフラッシュのような症状が起こると、何かと不安になってしまうママさんは多いでしょう。
ひょっとしたら何か病気が原因である可能性もゼロではありませんので、不安な場合は医療機関に相談してみましょう◎