「妊娠高血圧症候群ってどんな病気?」「どんな症状が出るんだろう?」「どうすれば予防できるの?」
妊娠高血圧症候群は、妊娠中に発症する病気で、妊婦さんの約5~8%が経験すると言われています。
自覚症状がないまま進行することも多く、重症化すると母体や胎児に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、妊娠高血圧症候群の原因、症状、検査方法、治療法、そして予防法まで詳しく解説します。
妊娠高血圧症候群と診断された方も、そうでない方も、ぜひこの記事を読んで、正しい知識を身につけてくださいね😊
目次
妊娠高血圧症候群とは
妊娠高血圧症候群は、約20人に1人の割合で起こるものです。
以前は「妊娠中毒症」と呼ばれていましたが、現在は妊娠高血圧症・妊娠高血圧腎症・加重型妊娠高血圧腎症・高血圧合併症の4種類をまとめて妊娠高血圧症候群としています。
妊娠高血圧症 | それまで高血圧ではなかった方が妊娠20週~産後12週の間に高血圧になってしまう |
妊娠高血圧腎症 | 妊娠高血圧症に加え、たんぱく尿、肝腎機能障害、肺水腫、子癇、視覚障害、頭痛、子宮胎盤機能不全などの症状も たんぱく尿だけ出ても妊娠高血圧腎症には当てはまらないが、逆にたんぱく尿がなくても、高血圧とその他の症状があればこれに当てはまる |
加重型妊娠高血圧腎症 | 3つのパターンあり
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高血圧合併症 | 妊娠前や妊娠20週までに高血圧の症状があり、加重型妊娠高血圧腎症を発症していない |
妊娠高血圧症候群の原因
妊娠高血圧症候群の原因ははっきりとは分かっていませんが、有力なのが胎盤の異常です。
胎盤は赤ちゃんを守ってくれる大切な役割を持っています。
しかし何らかの理由で胎盤が正常な状態ではなくなり、さまざまな物質を作ってしまうことで血管に影響してしまうのではないかというのです。
その他にも年齢や体質などさまざまな要因が重なっているかもしれません。
しかし妊娠高血圧症候群は日頃から気を付けていても誰もが発症する可能性があります。
もし妊娠高血圧症候群と診断されたとしても自分自身を責めないようにしてくださいね。
妊娠高血圧症候群の症状
妊娠高血圧症候群は重症化するとさまざま症状が現れます。しかしはじめは何か自覚症状があるわけではなく、妊婦健診で血圧の異常を確認し初めてわかるのです。重症化すると起こる症状を以下に挙げていきます。
子癇発作(しかんほっさ) |
(母子の命に危険が及ぶ恐れがあるため) |
HELLP(ヘルプ)症候群 |
(母子の命に危険が及ぶ恐れがあるため) |
常位胎盤早期剥離 |
(赤ちゃんの死亡や脳性麻痺などの高いリスクがあるため) |
胎児発育不全 胎児機能不全 |
→赤ちゃんが十分に育たない(胎児発育不全)
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脳出血 | 子癇発作によって引き起こされる場合あり |
このように重症化すると、さまざまなリスクがあります。これはお母さんにもお腹の赤ちゃんにも両方にいえることです。
そしてこれらは出産後も起こる可能性があるため、油断してはいけません。
妊娠高血圧症候群の診断方法となりやすい人の特徴
妊娠高血圧症候群は原因がはっきりわかっていないため、自覚症状もほとんど出ません。ではどのように検査をし、診断されるのでしょうか。ここでは妊娠高血圧症候群の診断方法やなりやすい人の特徴について解説していきます。
妊娠高血圧症候群はどのように診断される?
妊娠高血圧症候群の診断方法には血圧測定と尿検査があります。これらによって尿中タンパクを測定。高血圧と診断される基準は以下のとおりです。
約6時間以上空けて2回以上
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しかし尿検査でタンパク尿+1の結果が出ても、精密検査ではその結果が偽陽性であることも多々あります。そのため、きちんとした診断を下すためには、24時間の尿を集めて1日のタンパク尿を正確に測定する必要があるのです。
妊娠高血圧症候群になりやすい人
妊娠高血圧症候群の原因ははっきりしていませんが、妊娠高血圧症候群になりやすい人の特徴というのがあります。
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詳しい原因は分かっていないため、上記のような特徴を持つ人が必ずなるというわけではありません。しかし「なるリスクが高まる」ということには変わりないので、上記に当てはまる人は気を付けるようにしましょう。
治療法と産後の状態
妊娠高血圧症候群と診断された後はどのような治療が待っているのでしょうか。また産後の状態についても解説していきます。
どのように治療する?
まず症状の状態によって治療法を変えていきます。症状が軽度の場合は通院となり、薬ではなく食事療法や十分な睡眠、適度な運動などをし、ストレスをためずに過ごすよう心がけてください。好きなことをしてリラックスすることが大切ですよ。
食事療法のポイント |
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そして重度の症状が出ている場合、基本となるのが入院と安静にしておくことです。胎児への影響も考えながら投薬治療を行います。
妊娠中の薬の服用はお母さんにもお腹の中の赤ちゃんにもリスクが高いです。けいれん予防の点滴を行うこともありますが、お母さんの血圧が下がると、酸素や栄養が赤ちゃんへ届けにくくなります。低酸素や低栄養になってしまう可能性もあり、急激に血圧が上昇した場合には、薬だけでは症状がよくならないこともあることをご承知おきください。
一番の方法は出産?
お母さんもお腹の中の赤ちゃんも危険な状態にある場合、赤ちゃんがある程度成長していれば緊急帝王切開か促進剤を打っての出産という方法があります。完全な治療法というわけではありませんが、出産することで血圧の値が急激に良くなるからです。
この場合は早産となるため、NICUなど設備が整った病院への転院することもあり、さまざまなパターンを想定しておく必要があります。
産後はどうなる?
産後はほとんどの方が徐々に正常な血圧に戻っていきます。軽症だった場合は特に心配いりませんが、日頃から運動をしたり塩分を摂りすぎないよう気を付けたりすることは続けていくといいでしょう。
しかし、重症だった場合は産後もなかなか数値が高いまま下がらないという方も多いようです。その場合はしばらく降圧剤などの薬を飲まなければなりません。その他にもむくみなどの症状が出ることもあるので、薬を飲むこと以外にも、運動や食生活の改善など積極的に行ってくださいね。
予防法をご紹介!
できることなら妊娠高血圧症候群になるのは避けたいですよね。ここでは妊娠中にできる妊娠高血圧症候群の予防法についてみていきます。ポイントは以下のとおりです。
妊婦健診を受ける
妊娠高血圧症候群は妊婦健診でいつも行っている血圧の測定で発覚することが多いので、きちんと決められた週に健診を受けるようにしましょう。見逃しを防ぐことができるので、早期発見につながります。
塩分を控える
妊娠中は酸っぱいものや塩気のあるものが食べたくなるかもしれませんが、なるべく塩分は控えるのがおすすめです。レトルトや外食、お惣菜なども減塩のものを選ぶようにするといいですね。
体重を毎日チェック
妊娠中は、病気のリスクがあるないに関わらず体重増加を避けなければなりません。妊娠中も動きづらくなりますし、出産時が大変になります。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になる可能性も高くなるので、医師や看護師に指摘された場合は特に気を付けて、あまり一気に体重が増えすぎないようにしてください。
リラックスする
妊娠中は体も心も休める時間を作ってください。横になることで血流が良くなるので、血圧の上昇も抑えられます。
まとめ
妊娠中の病気は原因がはっきりとしていないのがやっかいなところ。
そのため、気を付けているつもりでも、年齢や体質などさまざまな要因が重なって病気を発症してしまうこともあります。
妊娠高血圧症候群も同じく、はっきりとした原因は分かっていませんが、誰もがなる可能性のある病気です。
そのため、もし診断がされたとしても落ち込んだりせず、改善することまたは悪化させないことに集中しましょう。
不安がある場合は、医師や看護師に相談し、生活習慣を見直すようにしてくださいね。
産後の状態にも関わりますし、次のお子さんをお考えの方も少しでもリスクを抑えることにつながります。