「高齢出産って、実際何歳から?」「リスクやメリットは何だろう?」
35歳以上の出産は「高齢出産」と呼ばれ、近年増加傾向にあります。
しかし、高齢出産には妊娠高血圧症候群や早産などのリスクがある一方で、金銭的・精神的なゆとりやキャリア形成などのメリットも存在します。
この記事では、高齢出産の定義やリスク、メリットを詳しく解説し、高齢出産を考えている方、現在妊娠中の方に向けて、安心して出産を迎えられるための情報を提供します。
高齢出産前後の過ごし方についても紹介いたしますので、ぜひご参考になさってくださいね😌
目次
高齢出産とは?
高齢出産とは何歳から呼ばれるのでしょうか。
高齢というとすごく年上の方をイメージしてしまいがちですが、妊娠において高齢と区分される基準はまた少し違います。
ここでは高齢出産と呼ばれる年齢や高齢出産が増えたのはなぜなのか、ということについてみていきます。
高齢出産は何歳から?
高齢出産とは、一般的に35歳以上で初めて出産することをいい、日本産婦人科学会によって定義されています。
世界的には「初産婦は35歳以上、経産婦の場合は40歳以上の出産のことを高齢出産とする」とされていて、日本と世界では少し違いも。
また厚生労働省の「令和2年人口動態統計月報年計(概数)」を見てみると、日本で第一子を産む女性の平均年齢は30.7歳で、平成27年から横ばいです。
30年前に比べると3歳ほど平均年齢が上がっているので、高齢出産の方が増えてきているのも不思議ではありません。
高齢出産が増えたのはなぜ?
ではなぜ高齢出産が増えてきたのでしょうか。ポイントは2つあります。
女性の社会での活躍
ひとつは女性の社会での活躍です。
30年ほど前であれば、女性は就職してもそれほど大きな仕事を任されることもなく、なるべく早くに結婚して寿退社するなんて風潮も強かったでしょう。
しかし現在は男性女性関係なく、その人の能力によって重要な役職や大きな仕事を任せられるような社会に変わってきていることもあって、晩婚化が進んでいます。
また女性も長く働けるように産休・育休制度もでき、結婚後も出産後も仕事を辞める必要のない環境作りがなされていることも高齢出産になりうる要因のひとつです。
少しずつではありますが、女性も働きやすい社会に変化しつつあるということですね。
不妊治療
そしてもうひとつは不妊治療です。
以前は、不妊は女性に原因があると思われがちでしたが、技術の進歩や不妊に対する理解によって、さまざまな原因が存在することが知られるようになりました。
そのため、いろいろな角度からアプローチできるようになり、高齢での妊娠率も上がっていったのです。
医学の進歩によって高齢でも妊娠できる可能性があるということが認知されるようになり、急いで出産をと考えるよりも、自分たちのタイミングでと考える方たちが増えていったのかもしれませんね。
高齢出産のリスク
10代など、若い年齢での出産も危険を伴うことがありますが、高齢出産もリスクがあるということを知っておく必要があります。
妊娠高血圧症候群
もともと高血圧の方はもちろんですが、妊娠中に高血圧を発症する方も少なくありません。「妊娠初期は何もなかったのに妊娠後期になった」なんて方も。
妊娠は、ただでさえいつもとは体の調子が違うので、「自分はまだ30代半ばだから高血圧とは縁がない」などと油断するのは危険です。
妊娠糖尿病
妊娠中は、つわりがおさまった時から特に食欲も出てきます。そのため、ついつい食べ過ぎてしまうことも。
そのため、高血圧と同じように、妊娠後期になって糖尿病を発症する方もいます。
妊娠中はできるだけバランスのいい食事を心がけて、生活リズムも整えておく必要があります。
出産後は赤ちゃんのお世話で食事や睡眠が取りづらくなりますので、妊娠中はできることをしておくのがおすすめです。
難産
高齢出産の場合、特に初めての出産では、子宮口が硬くなっているケースが多く、難産につながりやすくなっています。
なかなか子宮口が開かないと帝王切開になる可能性もあるので、その分身体への負担も増えます。
また、普段の生活の中でも、年齢を重ねると「傷の治りが遅いな」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
出産も一緒で、帝王切開はもちろんのこと、普通分娩であっても子宮の回復や傷の回復が遅くなるため、産後が辛くなることも考えられます。
子宮筋腫
30代後半というと、子宮筋腫などの病気が増える時期。
もし妊娠中に発覚した場合は経過をみながら妊娠生活を送り、最終的には帝王切開になることもあります。
子宮筋腫の位置や大きさによって早産や流産、赤ちゃんの発育に問題が出るリスクが高くなるということも覚えておきましょう。
早産や流産
妊娠初期の場合、赤ちゃんの染色体異常によって流産してしまう可能性があります。これはお母さんの年齢関係なく起こりえることです。
特に高齢での妊娠の場合、染色体の異常が起きやすくなるため、流産や早産になってしまう確率も高くなってしまいます。
先天性異常
先天性異常の代表的なものとしてダウン症があります。ダウン症とは、21番目の染色体の異常によって起こる先天異常で、通常は2つしかない染色体が3つある状態のことです。
母親の卵子は年齢とともにどんどん老化していくので、高齢であればその分、染色体の異常が起こりやすくなります。
このように、高齢出産にはさまざまなリスクがあります。上記で紹介したものの中には一般的な妊婦さんに起こりうることも多くありましたが、年齢を重ねていることでよりその危険性が高まるので、きちんと理解しておくことが重要です。
高齢出産のメリットは?
高齢出産にはリスクがありますが、メリットもいくつかあるので紹介していきます。
自分の好きなことに時間を使える
10代や20代というと、一番フットワークが軽い頃ですよね。そ
のため、遊びや旅行など挑戦したいこともたくさんあると思います。
しかしそのような時期に出産すると、赤ちゃんのお世話でいっぱいになり、なかなか自分の時間を取るのは困難に。
「若いうちはいろいろなことをしたい!」という方は、出産前にさまざま事を経験できるので、自分のやりたいことをやりつくした後に出産に挑めるというわけです。
キャリアをある程度積むことができる
20代は仕事をやり始めて大変なこともあるけれど、徐々に楽しさも分かってきますよね。
自分の仕事にやりがいを感じ、そのまま走り続けていくと、当然その分キャリアも積むことができます。
結婚や子どもも大事だけど、仕事にやりがいを感じているからもう少し頑張りたいという方は、少し子どものことを待ってみてもいいかもしれませんね。
金銭的・精神的ゆとりができる
10代20代のうちに一生懸命働いてきた方は、キャリアも積んでそれなりに貯金もたまっていると思うので、出産や子育ての費用にゆとりがあるのではないでしょうか。
赤ちゃん用品は意外とそろえるのにお金がかかりますし、子どもはどんどん成長していくので、勉強や部活、習い事など、出費が増えます。
そんな時に費用で悩むことなく、子どものためにお金をかけられるということは親としてもうれしいことですよね。
また、さまざまな経験を積んできた人の中には、何か問題が起きた時に余裕を持って対応できる方も多いと思います。
心に余裕がないと、きちんと子どもと向き合うことができないこともあるので、自分自身が精神的に落ち着いているということは大きなメリットといえるでしょう。
高齢出産前後の過ごし方
妊娠中は無事に出産が終えるまで気を抜いてはいけません。
高齢出産の場合も特に、出産まで気をつけて過ごす必要があります。
高齢出産前に気を付けること
高齢出産前に気を付けることとして、以下のようなことが挙げられます。
妊婦健診 |
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食生活 |
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生活リズム |
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運動 |
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定期健診では少しでもいつもと違う点がある場合、医師に相談するようにしてください。
その他は無理しない程度にできる範囲でやれるといいですね。
ストレスを溜めることが一番いけないので、リラックスして過ごすようにしましょう。
高齢出産後の過ごし方
高齢出産の場合、産後の回復が遅い方が多い傾向にあります。
そのため、くれぐれも無理はせず、周りに頼れる方がいるときは頼るようにしてください。
産後に無理をしてしまうと、のちのち大きな病気につながることもあります。
まとめ
高齢出産と聞くと、さまざまなリスクがあるため、マイナスのイメージを持たれることも多いと思います。
しかし、自分の人生は自分で決めるもの。
仕事や趣味、結婚、出産など、その時に何をしたいのかは自分次第です。
どの選択をするにしてもリスクはつきものなので、「まずは自分の時間を大切に、出産はある程度余裕ができてから」と考えても何も間違いではありません。
とはいえ出産は、とても大きなエネルギーが必要です。
予想外のことも起こりやすいので、妊娠中は医師の指示に従い、元気な赤ちゃんに会えるようしっかり体力もつけておきましょう。