「産休っていつから取れるの?」「どんな手続きが必要?」
妊娠がわかったら、気になるのは産休のことではないでしょうか。
産休は、働く妊婦さんが安心して出産・育児の準備ができるよう、法律で定められた大切な制度です。
しかし、産休の期間や取得条件、申請方法、さらには産休中にもらえるお金など、分からないことも多いですよね。
この記事では、2023年最新の情報に基づき、産休の期間、取得条件、申請方法、さらには産休中にもらえるお金について詳しく解説します。
目次
産休とは
産休とは具体的にどのような制度かご存じでしょうか。
言葉や仕組みはなんとなく知っているけど、実際に取得できる期間は知らないという方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、産休という制度と産休の期間についてみていきます😌
どんな制度?
産休とは、労働基準法第65条で定められた出産前後に仕事を休める制度のことです。具体的には「産前休業」と「産後休業」があります。
産前休業 | 出産前に安静にしたり準備したりする期間 | 任意取得 |
産後休業 | 出産後の体の回復を刷る期間 | 取得義務 |
産前休業は任意のため、取っても取らなくても大丈夫です。
ご自分の体調と相談して、取得するかどうか決めてください。
ただし、産前休業していない場合はその分の出産手当金をもらえないため、注意が必要です。
産休の期間
産休の期間は、産前が出産予定日の6週間前から、産後は出産してから8週間と決まっています。
産前は、先ほどの説明のとおり取得するのは任意なので、出産の6週間前になればどのタイミングでも取得できますが、双子以上であれば14週間前から休業可能です。
産後は、8週間休まなければならないと法律で決まっているので、この期間を変えることはできません。
出産日がずれてしまった場合でも、出産した翌日から取得できますので安心してください。
こちらは、出産における必要最低限の休業期間なので、もし産前6週間よりも前に体調に異変があれば、無理をせず会社に相談するようにしましょう。
産休の取得方法
産休を取得するためには、自分で申請が必要です。
しかし、初めての妊娠のときは特に、「私は産休取れるの?」「どのタイミングでどのような手順を踏めばいいのかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
ここでは、産休の対象となる人について説明し、産休の申請手順について解説していきます😊
産休が取れる人
産休が取れるのは、企業で働くすべての妊婦さんです。
「私はアルバイトだから…」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、産休に雇用形態は関係ありません。
正社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなど、どの雇用形態で働いている人も産休を取得できます。
しかし、日本の産休・育休制度は他の国に比べるとまだまだ浸透しておらず、企ト業によっては、正社員以外が産休を取得できることを把握していなかったり、実際に取得しづらい環境であったりする場合もあります。
特にパートやアルバイトとして働いている方は、「産休を取ったらそのまま辞めさせられてしまうかも…」と心配になることもあるでしょう。
しかし、妊娠出産などの理由で辞めさせることは法律で禁止されていますので、心配ありません。
産休はきちんと法律で決まっていて立派な権利ではありますが、もう少し周りの理解と環境を整えることが必要な制度です。
産休の申請手順
産休の申請は、企業によって手順や申請書類などが決まっているので、担当部署に確認が必要です。
その前にやるべきことは上司への妊娠報告。
安定期に入るまでは報告したくないと思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、妊娠初期はつわりなどで体調面や精神面が不安定になり、仕事に支障をきたすことも考えられます。
理由も分からずその都度体調不良で休んでいると、同僚に負担がかかってしまいますので、まずは妊娠が分かったらタイミングを見て早めに上司へ相談してみましょう。
「仕事のことでご相談があります」と事前にアポを取っておくと、落ち着いて話ができますよ。
上司との相談で、同僚にどのタイミングで打ち明けるか決め、就業時間についても相談しておくと、企業としてもご本人としても動きやすくなりますよね。
報告を済ませたら、産休の話もしやすくなるので、申請方法やタイミングについても聞いておくといいでしょう。
産休中にもらえる手当
産休中、仕事をしていないので、お金の心配をすることがあるかもしれませんが、いくつもらえる手当がありますので、ご紹介していきます。
出産手当金
出産手当金とは、会社を休んで給与が支払われなかった期間に対して支払われるもので、企業の健康保険に加入している被保険者本人が受け取れるものです。
パートやアルバイトの方でも、健康保険に加入していれば出産手当金を受け取ることができます。
しかし、間違いやすいのは、扶養に入っている方や国民保険の被保険者の方です。たとえご主人や親の健康保険の扶養に入っていても国民健康保険の被保険者の方でも、出産手当金の支給はないのでご注意ください。
出産手当金の受給額は出産日や計算によって出される「標準報酬日額」によって変わります。「標準報酬日額」の計算式は以下のものです。
支給開始日以前の継続した12カ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日 |
例)月給20万円 20万円÷30日=6667円 |
少しわかりづらいですが、出産手当金を支給する以前の12カ月間分の月給を平均し、それを30日間で割ると平均日額が出るということになります。
出産手当金はさらに、上記の計算式で出た標準報酬日額の2/3の金額を、出産日以前42日から出産日後56日の範囲内で休んだ日数分支払うということです。
例)出産日以前42日から出産日後56日休み、さらに出産予定日当日に出産した場合 (98日間) |
6667円×2/3=4445円 4445円×98日間=435610円 |
出産育児一時金
出産にはかなりのお金がかかります。基本的に妊娠出産にかかる費用は全額自己負担ではありますが、「出産育児一時金」というものがあるので大丈夫ですよ。
出産育児一時金とは、42万円を上限に支給され、「直接支払制度」というものを利用すれば、窓口で42万円引いた額を支払うだけで済みます。もし仮に出産費用が42万円以下であった場合は、後日申請することで差額分を受け取ることができるので、お得です。
対象となる方は、妊娠4か月以上で出産をした人で、早産、死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)した方も同様です。
ほとんどの方は、窓口負担を減らすために直接支払制度を使うことが多いでしょう。どちらにしても損はないので、必ず忘れないように申請してくださいね。
社会保険料免除
産休中はほとんどの場合給料が支払われないので、当然社会保険料の支払いもできませんよね。「保険料はどうなるの?」と気になると思いますが、産休中は免除してもらえるので安心してください。
事前に申請をする必要がありますが、産休を開始した日の月から、仕事復帰した月の前月まで月単位で免除されます。
産休~仕事復帰まで | 例)産休開始2026年6月15日 仕事復帰2027年9月20日 |
免除期間 | 2026年6月~2027年8月 |
育休との違い
育休とは、産休後にそのまま子育てをするための休業期間のことです。産休と似ているので混同しがちですが、違いがあるのでまとめてみました。
産休 | 育休 | |
対象者 | ママ(雇用形態関係なし) | ママ、パパ (雇用形態関係なし) |
条件 | なし |
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期間 | 最大12週間 | 子どもが1歳を迎える前日まで (最長2歳を迎える前日まで延長できる) |
取得期限 | 出産予定日の6週間前まで | 育休開始日の1ヶ月前までに申請 |
給付金 | ・産休中に給与支払いがない ・勤務先の健康保険に1年以上継続して加入している |
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産休に比べると、育休はさまざまな条件が付いているのが分かります。しかし、育休は男性も取れる制度なので、育休の取得の有無や取得時期についてご家族で話し合っておくといいですね。
産休中にやっておくこと
産休中といっても、やるべきことはあります。
出産準備
陣痛はいつ来るか分からないので、出産の際の入院準備は事前に済ませておくといいでしょう。
準備リストのようなものを作ってひとつのバッグにまとめます。
何かあったときにすぐに家を出られるように、玄関などわかりやすい場所に置いておくと安心ですよ。
赤ちゃん用品の確認
赤ちゃん用品は、割と早めに用意している方も多いですが、早めに準備しすぎて見落としに気づかないこともあります。
産休に入って少し時間ができた時に、今一度赤ちゃん用品の確認をしてみてください。足りないものがあった場合は、まだ間に合うので、買い足しておきましょう。
出生届や役所での手続き
出産後は、赤ちゃんが誕生して2週間以内に出生届を出さなければなりません。また、児童手当の申請なども同時に行うので、退院したらできるだけ早めに市役所へ行くようにしてください。
まとめ
出産のことだけでなく、金銭面や今後の仕事のことも考えるとなると、かなりの精神的にも負担になってしまいます。そのため、仕事をしている妊婦さんにとって、産休はとても支えになるものですよね。
まだまだ取りづらいところがあるのも事実ですが、産休は働く女性に与えられた権利。赤ちゃんを迎える準備や産後の体力回復に必要な期間で、とても貴重なものです。
出産しても仕事を続けたいという女性を後押しする制度ですので、妊娠が分かった時にはまず上司や同僚に相談しましょう。